第36話 戦場の記憶
[3/3]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
ルインが……最初のイレギュラー大戦で自身とゼロを守るために命を散らした仲間…自身にとって何よりも大切な存在が目覚めていたのだ。
彼女と会話を交わし、想いを告げて彼女と結ばれた瞬間、エックスはゼロが封印されてから失ってしまったと思っていた死の恐怖を思い出してしまった。
エルピスにボディを破壊され、死が目前となったことでそれがより顕著になる。
死にたくない…消えたくない…まだ生きていたい…まだ、ルインやゼロと生きていたい。
「エックス様」
二人の捜索を続けてくれていたファントムがエックスの様子に気付いて声をかけた。
「っ…ファントム…」
朦朧としていた意識がファントムの声によって呼び戻されたエックスはハッとなってファントムに振り返る。
「大丈夫ですかエックス様?」
「うん…すまない…みっともない姿を見せてしまった……。」
ゼロがいなくなってからは誰にも見せなかった自身の弱い部分をファントムに見られてしまった。
「失望…したかい?ネオ・アルカディアの統治者が…君達の主がこんなに情けない奴だったなんて…」
「いえ」
「え?」
エックスの言葉をハッキリと否定したファントムにエックスは目を見開いた。
「以前の御身は、いつも諦めたような顔をしていました。」
エックスは一人でいる時、暗い表情をすることが多かった。
いつも物憂げな顔をして何か悩んでいる様子を、ファントムは陰から見ていて知っていた。
しかし今のエックスからは生きたいという気持ちが強いというのが感じられた。
「そう…ルインが生きていたのが分かって、今更死にたくない…消えたくないと思い始めたんだ…。分かる前までは死んでも構わないと思っていたのに…」
「大切な存在がいる時は生きて傍にいたいと願うのは当たり前のことです。御身が望んでいることは当然至極」
「…………ファントム……ありがとう。僕は…生きる。どんなにみっともなくても、最後まで…」
「…エックス様、あやつらを見つけました」
初めて見たエックスの目にファントムは一瞬口元が綻んだが、すぐにいつもの表情に戻ると、エックスにあることを報告する。
「本当かい?」
「ハッ、しかしかなりの傷を負っているようなので、意識が戻るのは当分先かと」
「分かった、案内してくれないかい?」
「御意」
エックスはファントムに案内され、この場から去っていくのであった。
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ