はて迷外伝 最強の剣と最強の盾4th
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作り出されてさらに恥ずかしい思いを強いられたのだ。
あの時の二の舞だけは避けたい。そう考えた矢先――不意に、アミィに目線を合わせるように一人の青年がかがみこんだ。こちらが見入ってしまいそうなほどに透き通った視線と、細身ながら逞しい体躯。黒髪と褐色の肌が健康的な印象を与えるその青年は、ぬいぐるみをまじまじと見つめている。
「喋るぬいぐるみか。面白いものを持っているな。触ってみてもいいか?」
『ハッ!ヤなこったぜ!オマエみたいな筋肉しかトリエがなくて知能低そうなブ男に抱かれるほどオイラは安っぽくねぇぞ!』
「……………」
青年の目線がちらりとアミィへ向く。
――今のはお前の本心か?
――ちちちちち違います!こいつが勝手に!!
無言ながらブンブンと首を横に振るアミィだったが、同時に前にもこんなことがあったのを思い出す。『彼』が自分を触ろうとした人を盛大に罵倒たり馬鹿にしまくったりした結果、怒りの矛先がアミィの方に向かってしまって逃げ惑う羽目になったことを。
(ああ、アミィはこの街でもこの陰湿ウスラバカに翻弄される運命なのぉぉぉ〜〜〜っ!?)
言い訳はするけど、胸の内に秘める想いは完全に諦観――諦めの感情だ。無表情の青年は何一つ言葉を発さないまま、ゆっくりとアミィに手を伸ばしていく。殴られる――そう思ったアミィはきつく両目を瞑った。
だが、いつまでたっても衝撃は来ず、代わりに自分の手からぬいぐるみが抜き取られる感覚があった。
「……ブランドの刺繍もなし、完全に手作りか。触ってみた所では中身も基本的には綿だな」
『う、うわぁっ!?き、気安く触んなあぁっ!!お、オイラは誇り高き……ひえっ!?も、揉んで中身を確かめるなぁ〜〜!や〜〜め〜〜ろ〜〜〜〜!?』
「なぁ、君。このぬいぐるみは一体なんなのだ…………?どうした、そんなに身構えて?」
「へ?あの……あれ、怒ってないんですか?」
「いや、苛立ちよりも君達への興味が勝っただけだが」
まるで表情を変えずに手の中で暴れるぬいぐるみを触る青年は、ビクビクと震えるアミィを不思議そうな目で見つめ、首を傾げた。
『〜〜〜ッ、おい黒いの!オイラの事が知りたいんならまずはオイラをアミィに返すのがニンゲンのレーギだろッ!』
「む………一理ある。勝手に取り上げて済まなかったな」
「あ、どうも――」
礼儀正しく返された『彼』を、青年は拍子抜けするほどあっさりと返してくれた。誠実な人だな――と思いつつも差し出されたぬいぐるみを手渡されたその瞬間、ほんの一瞬だけ青年の手とアミィの手が触れあう。
「―――ッ!?」
「む?」
『あっ、これヤベっ……』
――田舎育ちの青年はあまり知らなかったことなのだが、エルフという種
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