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魔法少女リリカルなのはStrikers〜誰が為に槍は振るわれる〜
第一章 夢追い人
第8話 彼の来た理由―後編
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やての激励に、全員が己のデバイスを起動し前へと踏み出す。

「さぁ、ラディ君に見せたろうか――」

 川辺に続く坂の入口に整列する全六課メンバー。
 それを横目に確認したはやては、ゆっくりと自身のデバイスの一つ、シュベルト・クロイツを掲げる。

「――うちらを舐めてかかると、どんな目に遭うんかっちゅうんをな」

 振り下ろされる杖と共に、六課のメンバーが弾かれたように坂を駆け出した。
 そして、機動六課によるあまりにも一方的な戦闘が、始まった――。


○●○●○●○●○●○


「……化け物ばかりの部隊っていうのは知ってたが、ここまでヤバいとは思わなかったな」
?まったくです?

 六課全戦力投入により、一方的な戦闘から無慈悲な蹂躙に変わった戦闘。
 それも数分とかからず終わり、ラディはなのは達から少し離れたところでセラフィムと密談していた。

?これだけ優秀な人材を集めれば、そりゃまぁ目をつけられもするでしょう?
「確かに。特にレジアス中将は少数精鋭部隊とか嫌いだからなー」
?……口を慎んでください、ラディ?

 スパイなら死んでも口にしてはいけない依頼主の名を口にするラディをセラフィムが制する。
 だが当のラディは気にも留めていないのか、ヘラヘラとした嫌味に笑った。

「別にいいだろう? 聞こえちゃいないんだし。それに――」

 そこでいったん言葉を切ったラディは、待機形態に戻り自身の左指に納まったセラフィムを眼前にまで持ち上げた。

「“オレには関係ないことだ”」

 自己紹介のとき、はやて達に言った通りラディはスパイだ。
 だが、それがラディオン・メイフィルスという人間の全てではない。
 あの場で言わなかったこと、それこそがラディオン・メイフィルスという人間の根幹部分であり、そしてそれこそが、彼が今、機動六課(ココ)にいる理由。

「中将は“報酬” を払った。なら、その報酬分の仕事はしよう。だが、それだけだ。それ以上はオレが関わることではないし、そして向こうが口出しすることでもない」
?……止まる気は、ないんですね?

 懇願するようなセラフィムの言葉に、ラディは視線を手元から遠くへと移す。
 その視線の先にいるのは、自身の子どもとも兄弟とも思っている大切な部下を労う、彼の新しい上司、フェイト・T・ハラオウン。

「ない。悪いが、受けた借りは返させてもらう。たとえ向こうに、その自覚がなかったとしてもだ」

 憎悪、嫉妬、憤怒。
 一つの言葉では決して表しきれないほどのどろどろとしたどす黒い感情がラディの目には浮かんでいた。
 なにもなければこのまま飛びかかって相手を殺してしまうのではないか。そう思わせるほど鬼気迫るなにかをラディは持っていた。

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