暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikers〜誰が為に槍は振るわれる〜
第一章 夢追い人
第8話 彼の来た理由―後編
[4/10]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ライム達の攻撃などないかのように縦横無尽に戦場を駆け回ってスライム達を薙ぎ払い、囲まれたと思った次の瞬間には忽然と姿を消し、浮いた個体を狩っていた。

「あ、あの……これ、そろそろあたし達もラディ陸曹の援護に出たほうがいいんじゃ……」

 恐る恐る切り出したスバルに返ってきた応えは、悔しそうな唸り声だけだった。

 当初の作戦では、ラディがまず先陣を切って自分の戦い方を見せ、そしてその後彼の動きに合わせて連携し、ロストロギアの本体を特定、封印し回収するといったものだった。
 だが、戦闘が始まってから数分たった今でも、ラディのあの神出鬼没な移動法を理解できるものがいないのだ。
 とてつもなく速いわけでも、何らかの奇怪な魔法を使っているわけでもないラディに、スライム達はおろか味方であるなのは達でさえも混乱するばかり。
 ラディがどう動くのか、それ以前にどこにいてどこに現れるのか分からない状態では前に出たところで連携することなど到底できない。それどころか、いきなり現れたラディを敵と誤認し同士討ちをしてしまう危険性すらある。
 ゆえになのは達はただ、ラディの戦いを見守るしかできないのだ。

「――ん?」

 だがここで、シグナムがなにかに気づいたように目を細める。
 彼女はしばらく静かにラディの動きを目で追っていたが、ラディがもう何度目になるか分からない謎の瞬間移動術を見せた瞬間、ようやく納得がいったと言うようにニッと笑った。

「ヴィータ、昔、お前が一人で突っ込んで苦戦したあの騎士のことを覚えているか?」
「あ゛? どの騎士のことだよ」
「妙なステップを踏み、変則的な機動をしていたナイフ使いのことだ」

 シグナムの言葉にヴィータは少しの間眉根を寄せて思い出そうと頭を悩ませていたが、思い当たる人物がいたのか、アイツのことかと呟いた。

「あぁ、確かに変てこな動きをするっていうとこはアイツとラディは似てるかもな」
「いいや、それだけじゃない。ラディの動きのタネも、あの男と同じようなものだ」
「……どういうことだよ」

 胡散臭そうに下から見上げるヴィータにシグナムはラディの動きを目で追いながら説明する。

「あの男は、間合いを詰めに来るとき常にステップを踏んでいた。あれは少し上に跳んでから踏み込むことでスピードを上げることと、単調な動きから急激に動くことで、相手の意表を突く二つの狙いがあった」
「……んなこと今更言われなくたって覚えてるよ」

 当時を思い出したのかヴィータは苦虫を噛み潰すように顔を顰める。

 シグナムの語る騎士。それはまだヴィータ達が闇の書の守護騎士(ヴォルケンリッター)だった頃に戦った騎士だ。
 魔力量そのものは大したことはなかったのだがナイフの使い手としての技量は優れており
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ