暁 〜小説投稿サイト〜
キッズストリート
7部分:第七章
[1/2]

[8]前話 [1] 最後

第七章

「御前等一体どうやって犯人を見つけたんだ?」
「推理か?」
「うん、そうだよ」
「それでなんだ」
 子供達は笑顔で話すのだった。
「それで見つけたんだ」
「やっとね」
「成程、それでか」
「推理か」
「しかしな」
 だがここでだ。労働者の一人が尋ねてきた。
「御前等推理だけでわからないよね」
「あれっ、推理だけじゃないのか」
「違うっていうのか」
「考えてみろよ」
 彼はこう仲間達に話す。
「推理をするには情報が必要だろ」
「ああ、そうだな」
「確かにな」
「それがないとわからないからな」
 彼等にもその事情はわかった。それであらためてそれぞれ頷く。
「じゃあどうやって情報を仕入れたんだ?」
「それは」
「ああ、それはね」
「つてなんだ」
 子供達は笑顔でその事情を話した。
「僕達のつてね」
「それで手に入れた情報なんだ」
「つてっていうとあれか」
「新聞売りのつてか」
「それか」
「うん、そうだよ」 
 金髪の子供がにこりと笑って大人達の問いに答えた。
「ベーカーにも僕達の友達がいるからね」
「それぞれいるんだ、僕達それぞれにね」
「それでわかったんだ」
 こう話すのだった。
「それでそれぞれ聞いた話を合わせていってね」
「そこから考えていったんだ」
「そうだったんだよ」
「へえ、何かパズルみたいだな」
「全くだよ」
 大人達はそこまで聞いてまた感心してしまった。
「けれどそれで事件を解決できたのか」
「そうだよな」
「うん、そうだよ」
「それでだよ」
 子供達はその通りだというのだった。
「それで事件を解決できたんだ」
「話を全部合わせて考えていてね」
「いや、子供っていってもな」
「馬鹿にできないな」
「全く」
 大人達はあらためて唸った。
「そこまでできるなんてな」
「こんな小さな子供達が」
「だって。僕達この街で生まれてそれで仕事してるんだよ」
「隅から隅まで知ってるし」
「友達も一杯いるしね」
「わかるよ」
 子供達は笑顔で話した。
「そういうことだからね」
「やろうと思えばやれるから」
「さあ、だからね」
「買って買って」
 すかさずそれぞれが手に持っている新聞を差し出す。
「その事件のことが書いてあるから」
「全部ね」
「おいおい、そこでそう言うかよ」
「新聞を売るかよ」
「事件のことが知りたかったら読んで」
「だからだよ」
 子供達の主張はそういうことだった。
「だからね」
「僕達のことを詳しく知りたいんなら買って」
「是非ね」
「ああ、わかったよ」
「それじゃあな」
 大人達も笑って返した。そうしてそのうえで彼等から新聞を買うのだった。ロンドンの小さな英雄達はこの日もそ
[8]前話 [1] 最後


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ