第九十七話
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んだ。彼女の」
「ありがとう!」
「わっ!?」
要するに目の前でファンだということが恥ずかしかったらしかったが、知らぬ間に銀髪の少女はルクスの目の前に来ていた。驚いて飛び退いたルクスの手を銀髪の少女が嬉しそうに握り、図らずも転びそうになったのを止めた形になる。
「ファンの声が直接聞けるなんて最高ね、この世界に来て良かったわ! ね、案内してルクス!」
「あ、ああ……じゃあショウキさん、また……」
困惑するルクスの手を引いて、銀髪の少女は街へ出て行こうとする。その顔にかけられたメガネは変装のつもりか、と考える俺に対し、彼女は扉を開け放ちながらこちらを向く。
「スパシーバ、ショウキ。今度はファンににしてあげるからね。……って、まだ自己紹介してなかったわね」
言われてみると、まだ彼女の名前を聞いていない。帽子を脱いでメガネを取った彼女の笑顔は、まさしくアイドルといった――光を感じさせる顔で。
「セブン。こっちの名前はね。……それじゃ、行きましょうルクス?」
帽子とメガネを装着し直して、変装した――つもりの――銀髪の少女、セブンはルクスを連れ添って街並みに消えていく。それを見送ってリズベット武具店の扉を閉めると、やはりというべきか息を吐いた。髪をクシャクシャとしてから、今の嵐のような闖入者のことを考える。
「……ん?」
結局、セブンがどうして現実と同じ顔をしていて、SAO生還者でない理由を聞くのを忘れていた。そうしていると、どこからか視線を感じ――気配を感じた方を見てみると、そこは工房へと続いていく扉で。
「レイン……?」
「――――ッ!」
工房へと続いていく扉を少しだけ開き、あたかもスパイであるかのように、真紅の瞳がこちらを見つめていた。盗み見か盗み聞きか――そんな状態に近かったレインと目が合うと、呆然としていたような状態からハッと覚醒すると、いきなり扉を閉めて工房へと走り去っていく。
「おい、レイン……」
工房へレインを追おうとすると、リズベット武具店の扉が再び開け放たれた。ルクスとセブンが帰ってきたかと思えば、そこにいたのはこの事態の元凶だった。
「……何だ、キリトか。また厄介ごと持ち込んできて」
「あー……すまない。そこでルクスに会ったから、事情は聞いたよ」
八つ当たり同然のこちらの言葉に、キリトも困ったように小さく笑う。どうやら今のところあの二人は、見つからずに観光が出来ているらしい……まあ、先程出て行ったばかりだが。
「キリトは知ってたのか? セブンのこと」
「ああ、もちろん」
セブンというアイドルのことを知っているか、という質問にキリトは即決即断したかのように答える。キリトもアイドルの方面には明るく
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