第九十七話
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レクションしてたつもりだったけど、ショウキくんには負けるなぁ……」
「しかもソレだけじゃないわよ。店の倉庫まで使って、まったく!」
許しが出たからかまじまじと俺のコレクションを見るレインに、俺から日本刀《銀ノ月》を受け取りつつも、まだまだある日本刀コレクションにリズは聞こえるようにため息を吐く。
「え、まだあるの? 後で見せて!」
「……しょうがないな」
「はいそこ調子のらなーい」
とある倉庫に押し込まれている刀の数々を思っていると、リズからビシリとツッコミを入れられる。そうしている間にも、特に長い距離でもない工房へと到着する。仕事場として使っている鉄の机に日本刀《銀ノ月》を置くと、俺とリズは仕事用のハンマーを肩に構える。
「へー……仕事場ってやっぱり独特な雰囲気。私は好きだな」
またもや周囲を物珍しげに眺めるレインに対し、リズはあるハンマーを差し出した。リズが造った鍛冶用のハンマーの中でも、かなりの出来の物だった。
「お褒めの言葉どうも! ほら、このハンマー貸してあげるからレインも手伝ってよ?」
「う、うん!」
レプラコーンとはいえ、店まで持っているとなると難しい。あまり大がかりな作業に慣れていないように見えるレインは、リズから受け取ったハンマーを両手に構え、キョロキョロとしながらも頷く。慣れないことに緊張しているようなところを見ると、レインちゃんは――などと自分のペースを保ちながら話す彼女だったが、そのペースを乱されるのは苦手らしい。むしろ慌てた時の方が、よりレインの本質なような気もするが。
「よ、そ、み、しない」
「痛い痛い」
どうりで話しているとペースが乱されるユウキの前で、レインがどこか狼狽えていた訳だ。自分のペースが乱されると慌てるところは、ちょっとリズに似ている――と思っていると、そのリズから物理的な文句が飛んでくる。どうやら、まじまじと慌てるレインを見すぎていたらしい。
「よし! んーと、何すればいいかな?」
そうこうしているうちに、レインは自らのペースを取り戻してしまう。少し残念に思っていると、ドアが勢いよく開けられた音が空間を支配した。たまに桐ヶ谷夫妻が工房の扉をそのように扱うことがあるが、今回は工房ではなく店の扉――つまり、リズベット武具店の入口である。
「物騒な客だな。リズ、ちょっと行ってくる」
「ん。よろしく」
せっかく振り上げていた愛用のハンマーは行き場をなくし、再び壁にかけ直して俺は工房から出る。とりあえず物騒とは言ったが、どんなお客様かと思いながら店頭に戻ってみると、そこには思いもよらない人物がいた。
「ルクス?」
キリトと二人でクエストに行ったと聞いていた、二刀を持ったシルフの姿がそ
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