第九十七話
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ちろん、三人のレプラコーンをユウキがぶっちぎるという結果に終わった訳だが。
「またね!」
と、即席レースに優勝して元気よく手を振るユウキと別れると、レプラコーン三人はリズベット武具店を訪れていた。手早く注文が来ていることを確認すると、店番をしてくれている店員NPCにお礼を言う。
「じゃあレイン、ちょっと工房に……どうしたの?」
「へっ!?」
店に入るなりレインは物珍しそうにあちらこちらを向きながら、飾られている武器を興味深げに覗き込んでいる。そっと、ある片手剣に手を伸ばそうとしたところに、様々な雑事を終わらせたリズに声をかけられ、イタズラが見つかった子供のように飛び退いた。
「な、なにかな?」
「うん、今更取り繕わなくていいわよ? ちょっと工房に来てくれ……ほら、ショウキ逃げなーい」
照れたように赤面して顔を伏せるレインと、町に出ようとしていた俺を引き連れて、リズが店から工房への扉が開く。工房へと移動している間に、鍛冶仕事には必要ない日本刀《銀ノ月》を仕舞おうと操作していると、前を歩いていたリズから声をかけられる。
「あ、ショウキ。日本刀は仕舞わないで。今からソイツを改造すんのよ」
「こいつを?」
腰から提げていた日本刀《銀ノ月》を手に持ち、改めてまじまじとその造形を見直した。美しい――基本に忠実な太刀の造形をしており、漆黒の柄から少し抜いてみると見える、三日月を思わせる銀色の刃には呪術的な紋様が刻まれている。そして日本刀としては果てしなく異常な、柄にあるスイッチと引き金が存在感を醸し出している。
……日本刀としては変ではあるが。数えて三代目の、俺とリズが作った大事な武器であり、唯一無二の存在だ。
「そうか……」
そしてまた、改造を施されて俺の力になってくれるという。方法は本職のリズに任せる他ないが、とにかくまたこの日本刀《銀ノ月》は生まれ変わっ――
「……そうか……」
「……いや、ね。複雑な気持ちは分かるわよ、うん」
それはつまり、引き金やスイッチ以上にまた魔改造が施される訳で。日本刀としてはさらに異形となっていくソレに、ちょっと悲壮感を感じざるを得ない。リズからもたらされる微妙なフォローに、少し肩を落としているところ、レインが後ろからピョコンと顔を出した。
「わ、凄い。ショウキくん色々武器持ってるんだね」
「え?」
「あ……ごめん、勝手に見ちゃって」
気づけばアイテムストレージは可視可モードであり、後ろにいたレインにも見えてしまったらしい。勝手に見てしまったことを謝るレインに、「気にするな」とばかりに手を挙げておく。後ろにいたレインに、見えるように展開させていたこちらが全面的に悪い。
「そう? 私も結構コ
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