アインクラッド 後編
流星の終着点
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まったマサキが、エミとのパーティーを解除すべくパーティー設定のタブを開こうとすると。
「マサキ君っ!」
迸る電撃の如く一瞬で脳全体を貫いた高い声に、今まさに《パーティー脱退》コマンドを選択しようとしていた人差し指が痺れて硬直した。麻痺のバッドステータスから回復するや身体を振り向けると、先ほど安全地帯で別れたエミの姿。ここまで走って来たのだろうか、両膝に手を当てて息を整えている。
「エミ……」
呻くようなマサキの声にピクリと肩を震わせて反応したエミは、暫しのインターバルの後に大きく息を吸い込みつつ顔を振り起こしてこちらを見据え。
「え、えっと……ごめんなさい!」
と、勢いよく頭を下げた。まさか謝られるとは思っていなかったマサキが呆然としていると、今度はおずおずと頭を上げ、縋るような上目遣いで言う。
「えと、その、さっきのは、雰囲気に流されたと言いますか……本心じゃない……ことはないけど! でも、そんな、悩ませる意図はなかったっていうか……よく考えてみれば、まだ期間的にも短いし、あんまり気にしすぎないでくれると嬉しいかなって……」
やはりエミとしても言い辛いのだろう、単語を吟味しながら話していることがありありと解る。マサキはこちらを見るエミの視線から逸らすように目線を落とすと、小さく数度頷いた。
「……ああ。分かった」
「……ありがと」
安心したようにはにかんでみせるエミ。一連の言動は恐らくマサキを気遣ってのものなのだろうが、それで彼女との後腐れが少しでもなくなるのならよしとしよう。今後手を切る相手との後腐れを気にするのもおかしな話ではあるが、「関係を修復したい」などの理由で付きまとわれるのも厄介だ。
「とりあえず、これを見ろ」
「え? ……あれ、こんな横穴、さっき通った時にはなかったよね? それに、流れ星がどんどんこの中に……」
話題を変える意味も含めて、マサキは背後の横穴をエミに示した。続けて、疑問を浮かべるエミに「この先に目指す隠しボスフロアが存在する可能性が高い」と伝えると、彼女の大きな瞳に明るい色が戻っていく。
「そうと分かれば、行くしかないよね! レッツゴー!」
やはりそう簡単に元通りとはいかないのだろう、少しばかり空回り気味のエミに手を引かれ、二人はその横穴に足を踏み入れる。
穴自体はかなり短く、殆ど歩かずに出口が見えた。その向こうからほのかに漏れ出る青白い光を目指して横穴を抜けると。
「凄い……」
「…………」
二人の目に飛び込んで来たのは、今までの暗い坑道が一転、全体がほのかに青白い光を放つ鉱物に覆われた長方形の部屋だった。星のようで、蛍のようで、それでいてクリスタルのような淡い輝きに包まれた空間。頭上では今ま
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