第六話
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うとするが、結局は家に入れず<奴ら>の餌になっている。
あ、いま深刻な問題に気がついたわ。
「明かりを消すぞ。今すぐに」
「ど、どうしてですか田中先輩!?」
「襲われている者たちは、光と人のいる所に群がってくるという事だ。」
いつのまにか毒島がいた。真剣な表情で言っているが、裸エプロンの格好で悪いが、色々と台無しだよ。と、今はそんな事にツッコミを入れてる場合じゃないな。
ここで叫び声を上げてこっちに来たら<奴ら>も一緒に、この部屋に群がってくる。そうなったらマンションの通路は<奴ら>で満杯になって逃げ場がなくなる。それで銃でぶっ放して撃退しても、更に下にいる<奴ら>が音を聞きつけて群がって、俺達は弾がなくってゲームオーバーだ。
「なら、助けないと!」
「ダメだ。撃ったら<奴ら>が群がってくるぞ」
「そ、それなら銃声が聞こえないサイレンサーっていう装備をしている銃が確かあった筈ですよ!それを使えば!」
「サイレンサーって言っても確実に銃声が遮断されるわけじゃない。機関部の作動音とかが響く場合もある。仮に一人助ければ、また更に<奴ら>に襲われている人が俺達を助けてくれと求めにくる。明確な目的を持たない奴を何十人も抱えて率いていけるほど、今の俺達には、そんな余裕はない」
「っ!!」
小室は納得しない表情で俺に睨みつけてくる。
「田中君の言う通りだ。我々には、彼らを助ける力はない。彼らは自分の力で生きていかなければならないのだ。我々がそうしているように」
「先輩達は、もう少し違う考えだと思いましたよ」
「間違えるな小室君。私は現実がそうだと言っているだけだ。それを好んでなどいない」
そう言って毒島は一階の方へ戻っていった。俺達三人だけになって気まずい。毒島と同じように小室になんだかんだ言って注意してしまったからな。
「すいません田中先輩。俺、あまりにも周りが見えていませんでした」
お、意外にも素直に謝ってきた。そして本当に申し訳なさそうな表情で誤ってくるので、俺も少しは気持ち的に楽になった。
「まあ、誰だって理性だけで動くことは出来ないさ。お前が気にする必要はないよ小室」
「ありがとうございます。でも、これからどう動けばいいんだろう。」
外は<奴ら>で満杯だ。<奴ら>の声に犬の鳴き声のオーケストラに、俺は少しうんざりする。
「動かない方が適切だ。こんな<奴ら>が集中している状況で、安全に車に乗り込める状況じゃないしな。橋はまだ封鎖されているし、橋には<奴ら>が群がっているし、無理にいく必要はないさ。夜はライトがあっても視界に制限が、かかるからむやみに動く事はやめといたほうがいい。今日はこのマンションで朝まで過ごそうぜ」
「
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