第六章
[8]前話
「ハイジ=ドレスと呼ばれるのに」
「ええ、けれど」
「あの服本当に可愛いですね」
「この国に合ってますね」
「山とかにいたら絵になりますね」
「私もそう思います、あのお店は確かに味もいいですが」
フォンデュの味がというのだ。
「しかしそれだけでなく」
「そのミーデル姿の女の子達もですね」
「最高にいいからですね」
「はい、スイスのツアーでは」
まさに彼等が参加しているこのツアーの時はというのだ。
「必ずあのお店に案内させてもらっています」
「あのミーデルを見てもらう為にも」
「その為にも」
「そうです、お気に召されましたね」
「はい、とても」
「フォンデュもよかったですけれど」
これまでとはうって変わって味も楽しめた、このことは紛れもない事実だ。
しかしそれ以上にとだ、二人は前川さんに熱い声で答えた。
「あのミーデルよかったです」
「ハイジ=ドレス最高です」
「そう言って頂いて何よりです」
「いや、安いツアーですけれど」
「もっとお金出してもよかったですね」
こうまで言う二人だった。
「いいツアーです」
「あのミーデルを見て思いました」
「そうですか、ではツアーはまだ続きますが」
「楽しませてもらいます」
「最後まで」
今の時点で最高のツアーになったがというのだ。
そうした話をしてだった、二人はツアーを実際に最後まで楽しんでだった。
帰りの飛行機が日本に降り立ってだ、飛行機を出た時にだった。
二人でスイスの方を振り向いてだ、満面の笑みで話した。
「いいツアーだったな」
「ああ、最高だった」
裕行も信彦も言う。
「本当にな」
「安いだけじゃなくてな」
「ミーデルよかったな」
「ハイジ=ドレスがな」
「あれだけで充分だ」
「充分過ぎるな」
二人共同じ意見だった。
「またあのミーデルみたいな」
「本当にそうだな」
「また格安ツアーがありましたら」
その二人にだ、前川さんも言って来た。
「宜しくお願いします」
「またスイスに行って」
「ミーデルをですね」
「今度は高原の中で御覧になられますか?」
そのミーデルをというのだ。
「そうされますか?」
「それもいいですね」
「確かにいいですね」
二人は前川さんのその言葉に頷いて応えた。
「じゃあ今度はそれでお願いします」
「高原で」
「はい、そうします」
笑顔で話してだ、そしてだった。
二人は笑顔のまま空港を出た、スイスへの思い出を胸にしてそのうえでそれぞれの家に帰った。満面の笑みを顔にたたえて。
ミーデル 完
2016・1・27
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