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4部分:第四章
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第四章

「斧や鋸を持っている」
「ええと、そういえばロンドンでそういったものってあまり持たないし」
「トンカチとかだからね」
「そうそう」
 労働者の街になっていたからだ。産業革命がそうさせた。労働者といえばやはりハンマーだ。少なくとも工場で斧や鋸はハンマー程使われはしない。
「それはないからね」
「普通にね」
「やっぱりそういうのを持ってる人って少ないし」
「それでベーカー街で事件を起こした」
「何か限られる?」
 こうそれぞれ話していく。
 そうしてだった。今度は黒髪の子供が言った。
「じゃあさ、一つ的を絞る?」
「的を絞るって?」
「被害者のお客さん」
 まずはそこからだった。
「それか知り合い。それで恨みを持ってそうな人」
「ああ、それだと結構以上に絞れるね」
「そうだね」
「本当にね」
 他の子供達もそれに頷く。そうしてだった。
 そのうえで被害者の近辺を調べてみる。するとその被害者に対して恨みを持っている者が何人か出て来たのであった。
 全部で五人だ。そのうち二人は同業者の女に借りているアパートの管理人だ。同業者の女は金の貸し借りで揉めており管理人は家賃の支払いが遅れていてそれで揉めていたのだ。どちらも金の問題であった。
「お金にルーズな人?」
「そうみたいだね」
「それも結構」
 被害者の人となりもここである程度わかってきた。
「けれどこの人達は違うみたいだね」
「そうだね、確かに」
「それは」
 このことが話された。
「後ろから首を絞めるって結構力いるし」
「そうそう、それも素手でね」
「それを考えたら女の人じゃないね」
「そうだね」
 そうした理由からこの二人の女は容疑者から外された。そして残るは三人である。女でなければだ。残っているのは男であった。
 まずは老人である。カフェで喧嘩をしてそのうえでだ。それから会えばその都度いがみ合い対立する。そんな関係だったのだ。
 老人は大柄で今も力が強い。しかしだった。
「仕事はケーキ屋なんだ」
「仲は悪かったみたいだけれど物静かな人みたいだし」
「そうしたことをする人じゃないみたいだし」
「それにだよ」
 ここでさらに話される。
「家には鋸も斧もないしね」
「ケーキ屋だからね」
「そうだね」 
 それでこの老人も消去された。残るは二人であった。
「ええと、次はお客さん達?」
「被害者のね」
「その人達かあ」
 まずは痩せて青い顔をした青年だった。何でも工場の労働者らしい。
「お客で来てそれで貢いでいて捨てられたんだって」
「ああ、振られたんだ」
「そうなんだ」
 子供達はこう解釈した。
「それで怨んでるって訳だね」
「成程、それでなんだ」
「それで恨んでたんだ」
「じゃあこの人
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