第二章
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「縁だな」
「腐れ縁だな」
「スイス旅行楽しもうか」
「二人でな」
こうした話を飛行機の中にしつつだ、二人はスイスに向かった。そしてスイスに着くと二人はまずはこう言った。
「寒いな」
「今六月なのにな」
裕行は首を傾げさせて信彦に応えた。
「寒いな」
「日本よりもずっとな」
「高山地帯だけあるな」
「山国だってことだな」
「寒いのも当然か」
「六月でもな」
「じゃあこの寒いスイスを見て回るか」
信彦は自分から言った。
「コンダクターさんの指示に従ってな」
「そうするか、あとな」
「あと。どうしたんだよ」
「もう知ってるよな、スイスは国民皆兵でな」
またこのことを言う信彦だった。
「常に戦争に備えてるからな」
「それでパンとかもだな」
「知ってるんだな」
「わざと収穫したての麦を置いてだな」
「保存してな」
そしてというのだ。
「古い麦使ってるんだよ」
「それで食いものもだな」
「期待出来ないからな」
「難儀な国だな」
「ひょっとして飯が今一つだからか」
「ツアー安かったのかもな」
「そういえばイギリスのツアーもな」
今回のツアーを行っているその企業が同時にしているツアーである。
「安かったな」
「アイルランドもな」
「どっちも料理有名だな」
「悪い意味でな」
「飯がまずいと安いのか?」
「そうかもな」
「じゃあ食うのは諦めるか」
安い理由を察しての言葉だ。
「景色だけ楽しむか」
「そうしようか」
こうした話してだった、二人はツアーコンダクターに案内されて他のツアーの参加者達と共にスイスを見て回った。
山は奇麗で家々もその山と森の自然の中で見事に映えている、だが。
そのスイスのパンを食べてだ、信彦は実際にこう言った。
「予想が当たってな」
「全然嬉しくないだろ」
「ああ、本当にな」
自分と同じスイスのパンを食べている裕行に言った、昼食の時に。
「嬉しくないな」
「ハイジじゃ溶けるチーズやバターたっぷり乗せててな」
「滅茶苦茶美味そうだけれどな」
「聞いていた通りな」
「あまりな」
その味がというのだ。
「本当に予想通りだな」
「チーズはそこそこ美味いな」
「ワインもな」
パンとチーズと共にあるのはワインだった、それとソーセージやハムもある。全体的に質素な感じである。
「いけるな」
「まあな、ただこのワインはな」
「ドイツのだな」
「そうだよ、ドイツのだよ」
スイスのものではなくというのだ。
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