十五話:歪んだ平和
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いくクロノ。
広大な次元世界を渡り歩き、フリーランスの暗殺者紛いのことを行っていた。
しかし、実際には切嗣は彼なりのやり方で世界を平和にしようとあがいていた。
つまり、ロストロギアの不法所持などを行っていた者達を殺していったのはそれを悪用させないために他ならない。
そして、殺した後は信用でき、悪用しない者にそれを保管させる必要がある。
そんなことができるのはこの次元世界の中で管理局以外にはない。
だが、彼は犯罪者だ。堂々と管理局にロストロギアを持ち込みに来られるはずがない。
何らかの仲介人、もしくはルートが確立していなければ不可能だ。
―――彼の情報の開示もなく、簡単に情報の削除も行われた。
おまけに上層部は元々存在していなかったことにして捕まえづらくしている。
もしもこれが、身内の恥を隠すためではなく、彼を守るために行われているのだとしたら。
そこまで考えたところでクロノの顔から血の気が引いていく。
そもそも、広大な次元世界で単独で行動することなどできるのだろうか。
何らかの後ろ盾がなければ世界を自由に渡ることすら難しい。
ならば、彼の後ろには当然のように組織がついているはずだ。
それも、数多に広がる次元世界の中でも強い力を持っていられる組織。
しかも、彼の行動の真の意味を知って得をする組織で、ロストロギアを大量に回収する必要性がある組織。
クロノにはそんな組織は一つしか思い至らなかった。
「世界はいつだって、こんなはずじゃないことばっかりだよ……」
力なく呟き椅子に座り込む。覚悟があるのならということはこういうことだったのだろう。
自身が信じていた正義を裏切られる覚悟があるかどうか。
どうりで魔導士殺しは捕まらないわけだ。味方を捕まえるような組織は普通はない。
彼は一度たりとも裏切ったことはなかったのだ。
心身ともにボロボロになりながらも世界の為に、組織の為に働き続けてきたのだ。
最初から最後まで必要悪であることを自らに義務付けた。
そして、それを心の底から歓迎したのは―――
―――世界の平和を守る時空管理局に他ならない。
クロノが今の今まで正義だと信じていたものは、平和の為なら如何なる悪でも許容する存在だったのだ。
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