十五話:歪んだ平和
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もそのことは知っているだろう。
要するに、この情報の中に切嗣を追うための手立て、もしくはヒントが隠されているということだ。
しかし、疑問は残る。第一になぜこうも回りくどい方法を取るのか。
知っているのならば直接はやてに伝えてやればいい。自分が仲介する意味がない。
だというのに、そうするということは直接伝えることができないからだ。
知る覚悟があるのならという言葉はその情報が危険を伴うことを示しているのではないか。
その考えに思い至ると自然と背筋が冷たくなる。
―――自分は今とんでもないことに首を突っ込もうとしているのではないか?
脳裏を掠める嫌な予感。それを振り払う様に首を振り、クロノは再び手を動かし始める。
できることならばこのまま引き返したい。守る者も増えた。
おとなしく引き籠って危ない橋を渡る真似はしたくはない。
だが、彼の内に宿る正義の心がそのようなふぬけた真似はさせなかった。
知らなければならない。それが何であったとしても。
まず、彼は自分が知り得る情報、『魔導士殺し』が関わったと思われる事件を思い出す。
続いてその中でロストロギアと関連があると思われるもの。
管理局の警告を無視して危険なロストロギアを所持する人物が不審死した事件。
それらを照らし合わせたところで彼は気づいた。
不審死した人物が持っていたロストロギアは全て管理局が取得していることに。
不審死を確認された後に管理局が回収するのは至極当然のように思える。
―――しかし、全てというのはあまりにも出来過ぎた話ではないか?
ロストロギアを求める人間はそれこそ星の数ほどに居る。
それらを潜り抜けて管理局が手に入れるのは業務上喜ばしいことだ。
だが、現実としてそれは不可能だというのも彼は知っている。
力を求める新たな持ち主に奪われることもあれば、金目当ての密売者にかすめ取られることもある。
勿論、全てが全てその場で押収されたものではないらしい。
所々に不当な取引を差し押さえたと書かれている。それがあることでデータは正常に見える。
『魔導士殺し』が関わったと思われる物全てが差し押さえに成功していなければだが。
そもそも、広大な次元世界で狙ったロストロギアを密売している場所を抑えるなどできない。
そういった舞台である陸はただでさえ人材と資金が足りない。
おまけに管理外世界で取引をされてはいくら努力したところで限界が見える。
だというのに、彼が関わったと思われる事件全てで回収に成功している。明らかにおかしい。
これではまるで。
―――彼自身が望んで管理局の手に渡るようにしているようではないか。
ここに来て改めて彼の情報を思い出して
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