十五話:歪んだ平和
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そして、パクパクと料理を食べるリインも知らない。
アインスが自身の姉と定義されてしまえば、マイスターであるはやての叔母になってしまうという恐ろしい事態を。
彼女達はまだ知らない。
クロノ・ハラオウンは管理局データベースであるものを調べていた。
それは現在までに回収、押収されてきたロストロギアの一覧だ。
四年の月日が流れ、母親のリンディが前線を退きアースラを降りた。
クロノはその後を継ぎアースラの艦長となったのだ。
ここまでの地位に上り詰めれば秘匿情報の閲覧が可能となってくる。
しかし、何故ロストロギアを改めて調べ始めているのかと言えばだ。
「『知る覚悟があるのならロストロギアの回収元を調べてみろ』……グレアム元提督は一体何を伝えたいんだ?」
グレアムにより告げられた言葉だった。その言葉に何か裏があるのは分かる。
しかし、それが何であるかは分からない。ただ、何かを伝えたいのだ。
自分にとって利益となり、同時に不利益となる何かを。
先程から注意深く目を通しているが目立って不審な点はない。
つまりは、何か別のことに着目して調べる必要性があるのだ。
クロノは一端手を止めて自身とグレアムとの繋がりを改めて考えてみる。
自分の師匠であると同時に家族ぐるみで親しい関係。
そして父の件では今はともかくとして複雑な関係性がある。
しかし、これらとロストロギアの回収元で被る物はない。
唯一被るとすればそれはかつて闇の書と呼ばれた夜天の書のみ。
そこまで考えてハタと気づく。
情報を伝えるということはあちらにもそれで利益が出るということに他ならない。
勿論善意だけで伝える人物もいるだろうが、恐らくこれはそれだけではない。
一先ずそう仮定することにしてクロノはグレアムにとって何が利益となるのかを思考する。
彼が今更、管理局での地位や名誉などに拘るとは考えられない。
そうすると、私情だと判断するのが一番確率が高い。
そして、グレアムが自分を使ってまで何かをしようとしているのだから彼にとって重要な物。
つまり、彼の家族に関する事柄だろう。
リーゼ達は彼のすぐ傍に居るために何かあるならば自分で何とかするはず。
そうなると、彼が最も気にかけているのは―――
「はやての為になることか……」
最も確率が高いのはそれだろう。つまり、はやての利益となることを調べろと言うことだ。
さらに言えば、クロノにも何らかのメリットが発生する事柄で。
彼は個人的にはやての手伝いとして切嗣の犯行と思われる事件も調べている。
そして、その情報を可能な限りはやてに提供している。
だが、決定的な情報は未だに一つたりとも無い。グレアム
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