十五話:歪んだ平和
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て。
そんな主に対して知らなくとも無理はないと慰めるザフィーラ。
そもそも、九歳の少女が自分の肉親を疑うはずがない。
切嗣は歴戦の騎士である彼らすら簡単に騙して見せたのだ。
はやてが本当の切嗣のことを知れなくとも何の不思議はない。
それに何よりも切嗣は―――
「お父上は心の底から主を愛しておられた。これは嘘ではない真実です。もしも、本当に血の涙もない男だったのなら我らも、そして主も裏があると気づけたはずです」
「そうやね……。おとんは嘘なんてついてなかった。ただ本当のことを隠してただけ。だから、私らは最後の最後まで気づかなかった」
自分自身が苦悩していたからこそ、他の者は裏切りに気づくことができなかった。
彼もまた、はやてが苦しむことにどうしようもない絶望を抱いたために分からなかった。
全ては捻じ曲がってしまった残酷な運命のせいだと、そう思わずにはいられなかった。
「このまま見つけられんかもしれん。でも、諦めることだけはしとうない。初代リインフォースは必ずまた会えるって言っとったんやから」
「……我らヴォルケンリッター、この命尽きる時まで主はやてについて行きます。しかし、決して無理はなさらぬように」
「分かっとるよ、そんなんしたらリインフォースも悲しむからな」
「はやてちゃん、私のことを呼びましたか?」
「リインやなくてアインスのことやよ。それよりもリイン、口の周りが汚れとるで」
リインフォースと聞いてひょこっと顔を出したリイン。
その口の周りが汚れていたのではやては笑いながらその口を拭いてあげる。
リインはくすぐったそうにしていたが、それが終わるとまた料理の元に飛んで行ってしまう。
そして、その先でニコニコと笑いながらシャマルが箸で渡してくれる料理を食べるのだった。
「でも、おとんがリインを見たら驚くやろな」
「リインフォースTの意思を継承する者ですので。しかし、お父上はリインフォースとは争ってしかいないのでどういった反応を見せるか」
「そういえばそうやったな。結局ちゃんと話せてないんよな、二人は。あかん、未知数や」
思えばアインスは切嗣に対して止めを刺すような言葉を言っていたなと思い出し顔をしかめるはやてとザフィーラ。
しかし、二人は知らない。アインスは今も生きており、切嗣の傍に居ることを。
しかも、切嗣とアインスが愛し合う関係になっていることなど夢にも思わない。
「何はともあれ、今日はめでたい日なんやから暗くなったらあかんな」
「何か食べ物を取ってきましょうか?」
「じゃあ、お願いするわ」
「承知しました」
ザフィーラに頼み自身は椅子に座るはやては知らない。
いつの間にか自身に仕えた管制人格が自分の義理の母親になっていることを
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