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ソードアート・オンライン‐黒の幻影‐
第3章 黄昏のノクターン  2022/12
33話 漆黒の猛禽
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なのだろう。


「面白いジョークだな、気に入ったよ。私もちょうど、浮かれている()()()()が気になってね。さぞかし面白いパーティーが開かれているようだから、ご相伴に与れればと思ったのだが、よろしいかな?」
「………テメェ、何を嗅ぎ付けやがった?」
「おや、簡単に剥がれるメッキとは頂けない。もう少し上手く張らないと貧相な裏地が丸見えだ。腕の良い職人を紹介しようか?」
「ハッ、ほざきやがって! 腰巾着の居ねぇテメェなんざ怖かねぇ!」


 親玉が叫ぶと同時に、水運ギルドの構成員が各々武器を携えて周囲を囲む。出口が背後にあるからいつでも脱出は可能であろうが、それは現在地を維持できていればの話だ。少しでも戦線を移動すれば、屋内という制限された空間内に置いては簡単に包囲されることも在り得る。


「ここまでは予定通りだ。あとは大方を私が引き受けるが、流れた雑魚は君達で対処してくれると助かる」
「この数は流石に無謀じゃないか?」


 コルネリオのレベルからすれば周囲のMobは有象無象のようなものだろうが、果たして信用していいものか。数で押し切られては元も子もないのだが、それをNPCに説こうにも理解してくれるだろうか。


「君は優しいのだな。だが、まあ見ているといい。いっそ喜劇でも楽しむくらいの気でいてくれ………もっとも、刺激的な演目だがね」


 俺の肩を軽く叩きつつ、コルネリオはゆったりと前に歩み出す。
 腰のホルダーから鞘ごと抜いた刀は、しかし大きく開いた腕が示す通り抜刀の意思さえ感じさせない。ノーガードという分かりやすい挑発は一際逞しい体躯の木こりの逆鱗に触れたらしく、大剣ほどはあろうかという肉厚の山刀を振りかぶって飛び掛かる。


「おやおや、全く元気の良いことだ」


 ………しかし、まるで予定調和を思わせる軽やかな動作でコルネリオは半身になり、刃は掠めることさえなくレンガの床に叩きつけられた。


「………だが、危ないじゃないか。部屋の中で振り回して良いようなオモチャじゃないだろう」
「ぐぬぁッ!?」


 まるで戦闘を感じさせない、窘めるような軽口を零しつつも、仕立ての良い革靴が山刀の峰を踏みつけて拘束。間髪入れずに放たれた、体術スキルによるものではない純粋な後ろ回し蹴り(ソバット)によって顎を撃ち抜かれ、木こりは短い悲鳴をあげてその巨体を床に沈める。カラーカーソルの真下を旋回する黄色の光が、《一時的行動不能状態(スタン)》に陥っていることを如実に報せていた。


「荒事は極力避けたかったのだが、そちらが先に刃を振るった以上、私も退くわけにはいかないな。良き友人だと思っていたのだが、このように裏切られるとは………悲しいよ………」


 
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