第3章 黄昏のノクターン 2022/12
33話 漆黒の猛禽
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「ここが我々の目的地、水運ギルドの本部だ」
「へぇ、敵のアジトって割には随分とシャレた建物だね」
「うんうん、ツタの感じが何とも良い雰囲気ですなー」
「シャレている、か。私にはどうしても野放図に見えてしまうのだが、味があるのは確かだろうな」
リゼルとレイの感想にさえ律儀に返すコルネリオが、もう冷酷なマフィアのボスだと思えなくなってしまっているのだが、もしかしたらクーネ達も早くからコルネリオに接していれば、必要以上に怯えなくて済んだのではないかとさえ思えてくる。
「で、コルネリオさん。これからどうするんですか?」
「ああ、その事について説明させてもらおうか」
クーネに問いかけられると、コルネリオはすぐさま表情を正し、語り始める。
「まず、思い出してほしいのは、君達が昨日追跡した大型ゴンドラだ。その船がフォールンエルフのアジトに物資を搬入していたと報告書にあったが、今度は木箱ではなく、我々を彼等の取引先まで運び込んでもらおうという算段だ。水運ギルドの船であれば警戒されずに懐まで潜り込む事が出来るだろうし、相手のリーダーに直接話をすることも容易になるだろう」
「水運ギルドが首を縦に振ってくれるのか?」
「向こうの意思は関係ない。首を縦に振らせる。我々はその為にここへ来たのだから」
コルネリオの言う《話をする》というのは、要は《脅す》という意味だったのか。知っていたが、本人の口から聞かされると重みが違うように聞こえてならない。いや、気にするのは野暮というものか。
「さあ、基本は私がお相手を務めよう。この辺で華を持たせて頂くよ?」
「だったら、お言葉に甘えるとしよう」
「ああ、任せてくれ」
俺の返答を受けて満足そうに口角をあげたコルネリオは、そのまま先陣を切って水運ギルド本部のドアを開き、敷居を跨ぐ。ところどころ漆喰の剥がれたレンガの壁と、節くれ立った古材の梁が織りなすレトロな内装の広いエントランスは妙に渋い雰囲気があったが、しかし、待ち構えていた櫂を得物として握る水夫や、斧を携えた木こり――――赤いカラーカーソルの敵性Mobと《OUTER AREA》のシステムアナウンス、圏外に入り込んだことによって、観覧を楽しむ間もなく空気に緊張が走る。
「これはこれは、俺の会社に間抜けな来客が現れた思えば、引きこもりの若造が迷い込んでくるとはな。いよいよそちらも首が回らなくなって泣きつきに来たのかな?」
しかし、何かのイベントであろうか。半二階になっているベランダから見下すように、哄笑を撒き散らしながら恰幅の良い男が姿を現す。粗雑なコートを纏った、いかにも海賊といったようなNPCは、そのセリフから察するに水運ギルドの親玉
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