新たな犠牲者と生贄
[1/3]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
私がデータベースに(違法な方法で)アクセスしてから二時間ほど経った頃。
捜査は…これといった目新しい発見はなかった。というよりも、全く進んでいなかった。神威の心理がわかったところで、神威のもとに「お前はこれこれこう言う心理なんだな!」とか言って乗り込むわけにはいかないし、これから何か調べようと思ってもこれ以上の手がかりがない限り調べられないので、みんなはやる気を無くし、トランプなんかしたり、今流行りの「〇〇から始まるリズムに合わせて〜」や「指スマ」をやったりと随分余裕のある過ごし方をしていた。
そんなほのぼのしている間に、事件は起きていたのだった。
「今回の被害者は、この人だ」
目暮警部がそう言って指差したのは、まだ20代くらいの男の人だった。苦しそうな顔をして亡くなっていた。
「そして、傍にはこれが」高木刑事が小五郎さんに紙切れを渡す。「意味不明のことしか書かれてませんが…毛利さん、わかります?」
「うーん…」毛利さんが紙切れを見つめて考える。「誰について書いてあるんでしょうか…」
誰について?なんて書いてあるのだろうか。
「歩美たちにも見せて!」「早く貸してくださいよ!」「おせーぞおっさん!」
「うるせぇ!小僧どもは黙ってろ!」小五郎さんが怒鳴ると、子供達は静かになる。
「これは子供が見るものじゃないよ」と高木刑事も優しく言い、毛利さんから紙を受け取ると、私たちに言った。「あ、あなたたちも見ますか?どうぞ。」
土方さんが受けとり、みんなでその紙を囲むようにして覗き込む。
紙にはこう書いてあった。
〈生まれながらに強くならなければならなかった男。その男は、自分を本当の子供のように育ててくれた師を自らの手で殺した。
喧嘩など縁もゆかりもない少年。その少年は、男に拾われた。
幼くして母を亡くし、兄も無くした少女。
最愛の人を亡くした男。
最愛の姉を亡くした少年。
強さゆえ、「姫」と呼ばれた少女。その少女は、姉を亡くした少年を傷つけた。
全国の悪党よ、ハンターよ
少年を傷つけた少女を許すな
懸賞金一億。少女を捕まえろ。
生け捕りにできればどんな乱暴な手を使っても良い。
生け捕りにしてこちらにもってこい。
我々は必要な時にいる。そちらからこちらに来る必要もない。
少女を捕まえれば、莫大な金と、権力を与えてやろう
その少女に法の裁きを受けさせよう〉
自分でも手と足が震えているのが分かった。みんなの視線が私に集まっているのも。
「これは俺たちのことだ」旦那が静かに言う。「ザキと近藤さんは入ってないが、その他は俺たちのこと。最後の少女ってのは…」
「私」私は震える声で言う。「私。総悟を傷つけたのは、私」
余計なことまで言ってしまった。すぐに後悔をする。
「恋奈」総悟が言う。「お前
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ