第32話
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数精鋭こそが迂回路に相応しいと陸遜に言わせるという、保険を掛けててまで――
その理由はこの場の面子に合った。各地の代表がつドルこの場所は、軍議の場であると共に高度な政治の場でもある。
どこの者達と友好関係を築こうか。
どうこの中で自分の発言力を高めるか。
将来的に敵対する可能性が高い、相手の軍の規模は如何程か。
其処に集まる者達は互いを牽制し合い、腹の探りあいをしていた。
そんな中、自軍の力を示すまたとない好奇、迂回路ガ現れた。欲に駆られ我先にと挑もうとするも、危険が高いとわかると一変、保守的な態度に出始めた。
そんな中、勇猛果敢に『我が軍が担当しよう』などと言えば、彼等は何を思うだろうか。
それも、序列的に下から数えたほうが早い孫呉の者達が。
きっと彼等は快く思わないだろう。『下っ端が出しゃばりおって』などと理不尽に考えたかもしれない。
独立後に孫呉が孤立する危険性、それを回避するために周瑜は袁紹を利用した。
総大将からの任命であれば角が立たず、たとえ短気を起こす者がいたとしても、その感情は任命した袁紹に向く、まさに一石二鳥、それどころか以前してやられた鬱憤も晴らせ、一石三鳥である。
「フハハ! 期待しているぞ!」
「……」
しかし、苦虫を噛み潰したような表情を期待していた周瑜を待ち受けていたのは。
陽光にも例えられる袁家自慢の満面の笑みだった。
袁紹は特に悔しい思いはしていない。初めは誰かの掌の上で踊らされることに不快感を抱いたものの、彼の目標は最初から戦の早期決着である。
その中で誰かに利用されたなどは所詮小事。むしろそれが勝利のためになるのであれば、袁紹は喜んで手を貸すだろう。仮に周瑜から彼女の考えを聞かされていれば、袁紹は喜々として一芝居していた。
「……」
自身が過去に感じた屈辱、袁紹がそれを歯牙にもかけない事を彼の表情から悟り、周瑜が苦虫を噛み潰したような表情になる。ここまで綺麗に返されれば、立つ瀬が無いというものだ。
周瑜の小さな復讐は目的を達し、目標を逃した。
「さて、迂回路の件も片付いた所で、いよいよ目の前の難所について話し合おうではないか」
殆どの軍が、迂回路を回避出来たことにホッと一息つく中、袁紹は改めて本題を語る。
「まずは目の前に聳え立つ水関か、皆に策を求めたい所だが――聞いてばかりでは名族として示しがつかぬ。ここは一つ、我が軍の策を語ろうではないか!」
『!?』
袁紹の言葉に、天幕内に今までにない緊張感が走る。
連合軍の総大将にして最大勢力、袁紹軍が用意した水関攻略の策だ、無理も無い。
皆が一様に、武力、知力、兵力、財力最高峰と謳われる軍の長、袁紹の言葉に耳
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