第32話
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は眉間に皺を寄せていた。
それを確認した周瑜の笑みが深まる。
(気が付いたようだな袁紹。そう、お前は私の掌の上に居る)
やがて、静かに眼を開いた袁紹は答えた。
「迂回路攻略の任、我としては孫呉の軍に任せたい。受けてくれるな?」
「もちろん! 必ず吉報を持ち帰るわ!!」
「袁紹殿の御指名とあらば、それに恥じない働きを約束致しましょう」
――良く言う。
彼女達の返答に、袁紹は苦笑いを浮かべる。
そもそも彼には選択肢が用意されていなかった。
袁紹が迂回路をどの軍に任せるか思案する前に、『任せれない軍』を選択肢から外す必要がある。
そして消去法により残った軍の中で、もっとも適した者達に任せる――はずだった。
迂回路の危険性に尻込みしている者達や美羽は論外。すると候補となるのは、華琳、白蓮、劉備、そして孫策達孫呉である。
この中において一番軍事力を有する華琳。彼女であれば迂回路の突破も難しくないだろう。
しかし彼女の軍は、袁紹に次ぐ規模の大軍だ。その持ち味を生かしきれない迂回路に当てるのは、宝の持ち腐れ。
何より、華琳自身も迂回路には興味が無い様で、袁紹に幾度となく目で自軍を候補から外すように語り掛けていた。
次に白蓮。軍の規模としては一見適任にも思えるが、彼女の軍には有能な将が少なすぎる。
よくも悪くも平均的な能力では突破は難しいだろう。それに、その迂回路を守るのが万が一張遼であった場合……。
よって白蓮も候補から外すことにした。この判断には袁紹の私情も含まれる。
三人目の候補者は劉備だ。小規模な軍勢、武力、知力共に有能な将を従えている。
一見すると迂回路に適役にも思えるが、彼女たちの兵はあくまで義勇軍。農民に毛が生えた程度の者達である。
それでもあの二人――諸葛亮と鳳統が居る。どちらも三国志を代表する大軍師だ。
彼女達ならばたとえ兵の力が物足りなくても、知でそれをカバーできるだろう。
しかし――忘れてはならない候補者が居る。
孫呉だ。兵は少数精鋭、将は言うまでもなく英傑揃い。加えて彼女達は、この迂回路を発見した者達だ。この場に居るどの軍よりも地の利に明るく、伏兵や罠の場所を察知しやすい。
これ以上ないほどに適役である。周瑜は、袁紹がこの答えに辿り着くとわかっていたからこそ、彼に選択を委ねたのだ。
それを前提に今頃は。隠密に長けている甘寧、周泰の両名が斥候として動いているのだろう。
始めから答えは一つ、選択肢など無かったのだ。
それは奇しくも以前の袁紹と周瑜の状況に、立場を変え酷似していた。
しかしここで一つ疑問が出来る。何故周瑜がわざわざ袁紹に、自分達を任命させるようと仕向けたかだ。
それも、少
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