第32話
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の姿を見れたことで華琳は満足したため、追求を止める。
「この程度であれば問題は無い。さて、他の者は何かあるか?」
「私達はからは何も無いわ」
「袁紹さんで問題ないと思います!」
「まぁ、形式上でも麗覇が誰かの下に付くとは思えないしな」
他の諸侯たちも口々に肯定する。それを確認した袁紹は、予定通り軍儀を進行させるため口を開いた。
「では、これより合同軍儀を開始する。桂花!」
「ハッ! 袁紹軍軍師荀文若。僭越ながら水関攻略の概要を説明させて頂きます」
円卓の上には辺りを模した地図が置いてある。
「我ら連合軍が洛陽攻略の為に避けて通れない難所、それが目の前の水関と、それを越えた先にある虎牢関の二つです」
桂花は地図上に明記されている水関に『華』と書かれた小さな旗を立てた。
「皆様も確認した通り水関の軍旗の文字から、そこを守るは董卓軍の将の一人、華雄です。
もう一人の将である張遼は、虎牢関にいると思われます」
次いで水関の前に模擬駒を置いていく、それらの駒には各諸侯を現す一文字が彫られていた。
「これを見ても解る通り、戦力差は我らが圧倒しています。正面からの力押しでも勝利することが出来るでしょう」
『おおっ』
解りきったことではあるものの、それを改めて言葉にしたのは袁紹軍が誇る軍師荀ケ。
諸侯は益々状況を楽観しし始め、彼女の逸話がそれに拍車を掛けた。
「ですが――」
そんな緩んだ空気を桂花は良しとしない、戦に絶対はないのだ。
「地の利は断然敵方に有り。又、水関を守るのはあの猛将華雄将軍。単純な攻勢を仕掛ければ手痛い被害を受けるでしょう。後の虎牢関攻略の事を考えれば、犠牲の多い力押しは愚策です。
故に、此処に居る皆様方で話し合い。水関を攻略する上策が求められます――以上です」
先程とは一転して、ピンと張り詰めた空気が流れる。
追い詰められた敵ほど手強いものは無い。彼らの背後には洛陽がある。
敬愛する主、愛する家族や友がいる。
最も連合軍は、大儀を掲げているだけあって非道を犯す心算は無い。
仮に暴走した軍が居たとしても、袁紹や華琳を始めとした者達に制圧されるだろう。
しかしそれはあくまで連合内の認識であり、董卓軍と洛陽の人々から見れば侵略同然。
彼等からしてみれば背水の陣である。
可愛らしい容姿からは想像もできない緊張感溢れる言葉は、諸侯達の気を引き締めた。
「うむ! 実にわかり易い説明、流石は桂花である!!」
「ありがとうございます」
袁紹の賞賛に冷静に返す桂花。表面上は平静を保っているが、彼女の猫耳が物理法則を無視してピクピク動いている。尻尾が
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