第32話
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「はぅーっっお持ち帰りぃ〜☆」
「いかん! 主殿のご乱心だ、者共取り押さえよ!!」
『オオッ!』
このあと滅茶苦茶乱心した。
乱心した迷族が取り押さえられた数刻後、合同軍議の天幕内で各諸侯たちが集っていた。
その軍議の提案者たる袁紹は準備中の為、始められず重々しい空気が流れている。
(それにしても、本当に面白いことを考えるわね……麗覇)
そんな中華琳を始め、諸侯の好奇の視線に晒されている者が一人、劉備である。
正確には劉備自身ではなく、彼女が座している席に関心を寄せていた。
天幕内に設置された円卓で入り口から最も離れた席、所謂上座である。
本来であれば陣営の長たる袁紹、もしくは連合を呼びかけた袁術が座る席。
華琳が面白いと言ったのは、その席が袁紹側から劉備に用意されていた事だ。
普段はのほほんとしている劉備だが、社会常識は当然弁えている。
上座に座るように言われたときも何度も断ったのだ。最終的には押し切られ腰を落としたが。
そして他の者達は序列通りの席に腰を置いている。そうすると必然的に空く席が一つ。
入り口から最も近い席、下座である。
袁紹が未だ姿を現さず他に空いている場所が無い事から、彼はそこに座る心算なのだろう。
(分かりやすい意思表示ね……でも、嫌いじゃないわ)
華琳は口角を上げながら賞賛する。
この席順に袁紹が込めた意味。それは――『連合に序列は関係なく、皆平等』というもの。
あえて上座に序列的に最下位の劉備を座らせ、それとは逆の下座に袁紹が収まることで、これを示した。
各地から集っただけに殆どの者が理解したが、一部の者達の間では『袁紹池沼説』が唱えられた。
「待たせたな(蛇)」
そんな新説など露とも知らず、渦中の袁紹が無駄ないい声と共に姿を現すと、さも当然のように下座に腰を下ろした。
「さて、これより合同軍儀を―――と、言いたい所だが我から一つ提案がある」
袁紹の提案、それは連合の総大将について。本来であれば連合を呼びかけた袁術が盟主としてそれを務める所だが、幼い彼女にはまだ荷が重い。
そこで他の者に総大将として動いて貰おうと言うもの。
「立候補者が居ないのであれば我が引き受けようと思うのだが……かまわぬな?」
提案者である袁紹自身が名乗りを上げる。まるで出来レースのソレだが文句などあるはずもない。
軍事力、家柄、どれをとってもこの場に袁紹の右に出る者は無く。そんな袁紹を差し置いて総大将に名乗りを上げる者など居るはずも無い。
「ちょっといいかしら?」
「…
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