第32話
[3/12]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
謝こそしても、恨むようなことは一切無いよ」
「……白蓮」
「これだけ言ってもまだそんな顔するなら、華琳――と言うより春蘭直伝の実力行使にでるぞ! 本気だぞ!!」
握りこぶしをと共に二カッと白い歯を見せる。
誰が聞いても本心に聞こえるだろう。しかし白蓮と同じく袁紹もまた、彼女の心の奥底にしまっている感情を理解していた。
元々は幽州の領民達だったのだ。本来なら白蓮の軍に組み込まれるべき人員である。
真面目で責任感が強い白蓮は、笑顔の奥で親友に魅力負けした事を恥、悔やんでいた。
そのような心境にも関わらず尚袁紹を気にかける。痛々しくも嬉しい心遣い。
彼女にそこまで言わせて、しおらしい態度など続けられるはずも無い。
「まったく……相変わらず我が友は、器用なのか不器用なのかわからぬな」
「その台詞、お前にだけは言われたくないぞ!」
「あ、あのぉ〜……」
「おお劉備、放っておいて悪かったな」
「いえ全然! えっとそれで……実は袁紹さんに紹介したい娘が二人いるんですよ」
「ほう、新たな仲間か? して、その者達は何処に――」
袁紹の言葉に対し劉備は気まずそうに顔を伏せる。その様子から、紹介したい二人が既に天幕内に居るのだと察し。袁紹は懸命に視線を動かすがそれらしい者は見当たらない。
「……もっと下です」
「下? ……オォッ!?」
「うぅ……どうせ私達は」
「……小さいです」
長身な袁紹の死角に可愛らしい娘が二人。気付かれなかった事がショックらしく、沈んだ空気を漂わせている。
袁紹はしばらく、彼女達の機嫌直しに苦心するのだった。
「では改めて、私の新しい仲間! 諸葛亮ちゃんと鳳統ちゃんです!!」
先程まで暗い表情の二人だったがそこは流石名族。袁家謝罪方100手の一つ『謝罪風車』にて事なきを得ていた。
「しょ、諸葛孔明です! 宜しくお願いしましゅ!!」
劉備の紹介と共に声を上げたのは諸葛亮。緊張のためか言葉をかんでしまい、「はわわ……」と慌てる姿が大変愛らしい。
服装は制服を彷彿とさせる程整ったもので、合わせて被っている帽子が一層そう思わせる。
容姿は言うまでも無く整っており、短めな金髪が優等生の空気を醸し出している。
「鳳士元……です」
次いで控えめに口を開いたのは鳳統。人見知りらしく、袁紹と目が合った瞬間「あわわ……」と顔を隠してしまった。
諸葛亮とは色違いの服装なのだが、顔を覆い隠せるほど大きなトンガリ帽子を被っている。
その帽子から青いツインテールがはみ出ており、時折こちらの様子を探ろうと恐る恐る帽子を上げる様子は、非常に庇護欲――否、保護欲を掻き立てられ――
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ