暁 〜小説投稿サイト〜
恋姫†袁紹♂伝
第32話
[12/12]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
……大切なお願いがあります!」

「聞こう」

「感謝しましゅ! ……ご存知の通り我が軍は兵力が乏しく、仮に策が成ったとしても、その後の水関へと続けません」

「……」

「そ、そこで! 大陸一と名高い袁紹様の兵を――」

「断る」

「ふぇっ!?」

 言葉を最後まで言い切らぬ内に一蹴される。諸葛亮自身、この要請がすんなり通るとは思っていない。
 だからこそ説き伏せる為の言葉を幾つも用意し、理論付けで説明しようとしたのに――こうもあっさり断られては何もいえない。
 もはや彼女に出来ることは、涙を溜めた瞳で袁紹を見つめるくらいしか――

「む! ま、まて泣くな。これにはちゃんと理由があるのだ!!」

 いたいけな少女を泣かせた名族の図回避のため、袁紹は慌てながら言葉を続ける。

「我が兵は各将の下でのみ実力を発揮できる。故に兵だけでは貸せぬのだ」

「!? で、では!」

「うむ、我が軍の将、趙雲とその兵を貸し与えよう」

 その言葉に劉備と諸葛亮の二人が歓喜の声を上げ。周りの諸侯達が袁紹の太っ腹ぶりに感心しつつも呆れていた。
 これで策が成せると喜ぶ諸葛亮。笑顔に戻った彼女に『あれ』を言うのは心苦しいが――袁紹は心を鬼にする。

「一つ聞いてもらいたい。趙雲を貸すが、其方の指示に従うかどうかは彼女に委ねる」

「!?」

 その一言で諸葛亮から再び笑顔が消える。

 諸葛亮の企み。それは敵将華雄を討ち劉備軍の名を広めると共に、今ある兵力の被害を最小限に抑えようと言うもの。
 華雄を討ち果たした後、激昂した華雄軍と戦いになる可能性が高い。精鋭と名高い彼女の軍と、自分達が率いる義勇軍では分が悪すぎる。多大な被害、あるいは全滅の憂き目にあうだろう。
 そこで袁紹軍だ。彼を使い自軍の被害を抑えようとしたが――

 ――我が兵はお主等の盾では無い

 袁紹の言葉にはその意思が強く宿っていた。指揮権は劉備達にあるものの、最終的に従うかどうかの判断は趙雲に委ねられる。
 つまり、趙雲とその兵を盾に使えないのだ。









「? どうしたの朱里ちゃん」

「いえ、何でもないです……」

 今の劉備に諸葛亮の心情はわからない。彼女は単純に将を貸してくれる袁紹に感謝していた。

 このどこか抜けている主の為、自分がしっかりしなくてはならない。
 袁紹の怒気に近い気にあてられ、肩の振るえがまだ止まらないが、今は策を練り直さなければ。
 諸葛亮は自分に言い聞かせ、親友の鳳統と共に自軍の被害を抑える策を遅くまで語り合った。











 そして明朝、水関で待ち構える華雄の前に。孫呉を除く全ての連合軍が布陣した。

[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ