第32話
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を澄ませたが――
「華麗に! 雄雄しく! 進・軍であるッッ!!」
――我が軍の策に、一片の汚れ無し
右腕を天に向かって高々と振り上げ、堂々と宣言する。
「……それだけなの?」
「うむ! それだけゾ!!」
「……」
皆が唖然とする中、一足早く意識を戻した華琳が袁紹に確認するが、彼の答えは変わらず。
何故か何かを成し遂げたような、無駄なまでに爽やかな笑顔で返事をした。
それを聞いて諸侯達は溜息を洩らす。正直失望である。
袁紹の狙いはまさにそこにあった。上記でも語ったとおり此処は高度な政治の場でもある。
そんな中袁紹が策を出し、何処かの軍がそれを上回る上策を持っていた場合何が起こるだろうか、遠慮である。
そうでなくとも周りの者達が袁紹を持ち上げている中、彼の顔に泥を塗るような行為は出来ない。
袁紹自身が気に掛けなくても、他の者達に目を付けられる可能性が高く、それによって主に迷惑が掛かると考えるだろう。又、そこまで考えが至らなければ上策など考えられない。
袁紹はそんな彼らを発言し易くするため、あえて道化を演じて見せたのだ。
袁紹にとって救いなのは、少なからず自分の考えを理解しているものがいる事だろう。
もっもと、彼は『一生に一度はやってみたい事集 著・袁本初』に記された一つ、『一片の○○無し』を行えた事に満足していた。
「どうだ? 何処もなければ我が軍の策で行くが……」
「は、ハイ!」
「おお諸葛亮! 元気が良いな結構結構、何か策があるのか?」
「はい、私に秘策有り――です!」
「む、聞かせてはくれぬのか?」
「申し訳ございません。何分機密性が重要ですので、全容は説明できませんが――狙うは敵将華雄です!」
諸葛亮の宣言に『おおっ』と声が上がる。劉備軍の規模は殆どの者が確認しており、そんな軍が水関攻略どころか、敵将の頸を狙うというのだから当然だろう。
(……挑発か)
僅かなやり取りだったが、袁紹を含め、その場に居た才覚ある者達は諸葛亮の策を見抜いた。
諸葛亮が情報の機密を重視すること、寡兵に近い規模で敵将を狙うとすれば、とれる行動は限られてくる。
その中で一番濃厚なのが『挑発』による敵将の誘き出しだった。
劉備軍の将、関羽と張飛の武力があり、加えて華雄は気性が荒く、己の武に高い誇りを持っていると聞く。
だとすれば、劉備軍が最も華雄を狙える策は『挑発』、簡単な消去法だ。
「面白い、他者達から意見が無い以上。初日はお主達に任せよう!」
「あ、ありがとうござりましゅ!」
華琳は他陣営の力を図るべく静観している。恐らく彼女なりに策は用意してあるのだろう。
「そ、それであの
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