暁 〜小説投稿サイト〜
101番目の舶ィ語
第四話。パンパカパーン!
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「……はふぅ。考えるのは構いませんが、猶予はそんなに与えるつもりはありませんよ」

理亜は俺から視線を逸らすと、伏し目になって告げた。

「だから、なるべく早く。私の物語になることにした、と結論して下さいね」

「その結論になるかは解らんが、答えを先延ばしにならないように出す」

俺がそう告げると、理亜はさらに伏し目がちになり、その長いまつげが憂いを持っているかのように見えて、なんだかその姿を見るだけで胸が締め付けられてくる。
理亜の姿を見ていると、やはりというべきか。
お約束な展開で、血流が体の中心に集まりそうになったので、俺は食器をキッチンの流しに置くと、そのまま自室に戻ることにした。
そんな俺に理亜は声をかける。

「兄さん。ちゃんと歯磨きしてから寝るんですよ」

「子供扱いするな。……理亜もなるべく早く寝るんだぞ」

「……はい」

ちょっとぎこちないが、いつも通りの会話を交わす俺達。ぎこちないこのやりとりを早くいつも通りのやりとりにしないといけない。俺の為にも、理亜の為にも。
それがいい兄というものなんだろう。きっと。







2010年6月19日。疾風の部屋



とは言ったものの。俺はパジャマになることもなく自分の部屋のベッドに寝転がって天井を見つめていた。

「あんなに優しい理亜が……俺を物語にしたい理由、ダメだ。解らん」

戦っていた時の怖かった理亜の姿。
さっきの優しい理亜。
どっちも理亜なのは確かだ。
あんなに優しい理亜が、あそこまで怖い存在となってまで戦う理由。
それはどんな理由なんだ?
……。

「ダメだ。解らん……」

ベッドの上でゴロゴロ転がっても仕方がないのだが、『考えることを諦めない』と格好つけたところで、ヒステリアモードではない俺にいいアイディアが浮かぶはずもなく。
だからこそ、人はすぐに考えることを諦めて、安易な方向に走ってしまうのだということを痛感する。

「なんか哲学っぽいな」

実際哲学がどんな学問なのかはよく解らんが、きっとそういう人の考え方とか本質とかについての学問に違いない、なんて偏見を抱きつつ。

「なんて説明すりゃいいんだ……」

俺はDフォンを眺めながら、キリカにどう説明するべきか悩んでいた。あいつはまだ魔術を使用した代償のせいで満足に動くことも出来ないでいるからな。一時的にせよ目が見えなくなっているキリカには、起きた出来事を報告しておくべきだろう。そう思っているのだが、どこから説明すりゃいいんだ?
などと悩んでいると。







ピロリロリーン!




「うおっ」

いきなりDフォンから軽妙な音が鳴り響き、その音に驚いた俺は手に持っていたDフォ
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