第四話。パンパカパーン!
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の優しさを感じる。
「ああ、解る。俺も気持ちは同じだからな。大事な家族に……妹に危険な真似はさせなくないからな」
「はい。私も大事な兄には、苦しんだり、悲しんだりして欲しく……ありませんから」
俺をじっと見つめてくる理亜。その目には折れない決意があるような気がした。
「私の物語になること、考えておいて下さいね。その……悪いようにはしませんから」
「ああ、きちんと考える。ちゃんと、理亜のこと、俺のこと、みんなのこと。考えて考え続けて、俺達にとって最高にいい結末になるように考え込んでやるよ」
「兄さん……」
「理亜。俺はお前が既に知ってる通り、ただの一文字疾風なんかじゃない。全くの他人。遠山金次だ。騙してた事は謝る。悪いと思っている。本当ならここでお前と話すのは俺じゃない。一文字の役目だ。
その機会を奪ったのは、お前から大事な家族を奪ったのは俺だ。
だから俺はどんな罰でも受ける。傷つけてくれても構わない。
だけど、これだけは知っておいて欲しい。
俺もお前の兄同様……理亜のことは大事な妹だと思っている」
「だったら……」
「だが、ここでお前の言葉に屈したら。お前の物語になったら俺の仲間は……一之江達はどうなる? アイツらは望んでロアやハーフロアになったんじゃない。アイツらだって、苦しんで、悩んで、それでも前へ進もうと一生懸命頑張ってるんだ。理亜、お前の力なら確かにハーフロアである一之江や鳴央ちゃんを人間に戻せるかもしれない。
だけどさ、それまでハーフロアとして歩んできた一之江達の物語は。ハーフロアとして過ごしてきた想いはどうなる?
ロアであるキリカや音央はどうなるんだ?
ロアというだけで消されるかもしれないと思うアイツらはお前のことをどう思うと思う?
悩んでるのは俺やお前だけじゃない。
頼むからアイツらの努力を、苦しみを、想いを、存在を否定しないでくれ!」
……。
……
言っちまった。熱く語るつもりはなかったが思っていたことが全て出てしまった。
気まずい雰囲気が再び室内に漂うが、理亜はそんな空気の中でも口を開く。
「……兄さんの言いたい事は解ります。それでも私は兄さんに私の物語になって欲しいんです。
私は……諦めませんから」
「ああ、それは俺も同じだ。考える事は諦めない。
どんな難関だって、考え続ければ突破口があるはずだ。今は見えなくても、いつかそれが形になる日が必ず来る。俺はそれを散々学んできたからな」
前世で散々無理難題に挑んで、何とかしてきたからな。
だから、今抱えてる問題も何とかなるに違いない。
仲間を信じ、仲間を助けよ。
武偵憲章にもあるが、仲間を信じて無様だろうとカッコ悪いだろうが、突き進む。それが俺だ。
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