暁 〜小説投稿サイト〜
101番目の舶ィ語
第四話。パンパカパーン!
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てきた。
胃腸薬あるかな?
などと、現実逃避していると。

「まあ、兄さんからしたら色々と考えないといけない事もあるのでしょう……それは判ります。
ただ、作っておいたカレーが冷めてしまったのが残念です」

「カレー作っておいてくれたのか?」

「はい。だって、食べたかったんでしょう?」

理亜に言われて思い出した。授業中に来たメールで確かにそんなやりとりしていたな。
……すっかり忘れたが、わざわざカレーを作ってくれる辺り、理亜の優しさを感じる。
さっきまであんなに冷酷な口調と態度で接しられた相手なだけに、今のこのいつもの優しい雰囲気で接して貰えると嬉しくて仕方がない。
これが理子が言っていたツンデレっていう奴か?
いや、理亜はいつもはクールな娘だからクーデレも兼ねたツンクーデレなのかもしれん。

「なんか変なことを考えていませんか、兄さん?」

そして鋭い娘でもある。

「か、考えてない。それじゃあ、早速食べようかな」

「まあ、いいでしょう。それでは手を洗ってうがいするのを忘れないで下さいね。ただでさえ徹夜して戦っていたんですから、抵抗力が弱まっているはずですので」

そう言って理亜は台所に向かって歩き始めた。
さらりと『戦っていた』なんて言う以外はいつも通りの会話だった。
だからこそ余計に、俺は悩みを深めることになる。
本当に戦ったり、反発しあう道はないものか。理亜ならちゃんと話し合えば解ってくれるのではないか。そういう……兄妹が仲直りするのも、物語としては王道だろう。
かなめやジーサードの件もあるが、よし、なんとかしてみるか。
そんな決意を密かに固めて、俺は洗面所に向かった。








2010年6月19日。一文字家リビングルーム



理亜特製のカレーは、少し冷めたぐらいでは味を損なったりはしていなかった。
甘口というわけでもないが辛さが控えめで、カレーの風味や理亜が入れる隠し味的な何かのおかげか、普通に美味かった。

「ご馳走様でした」

「はい、ありがとうございます」

理亜はいつもこう言う。
そこは『お粗末様でした』ではないのか、と以前聞いてみたが、理亜曰く『お粗末様でした』という言葉は、粗末なものを出したみたいで許せないんです、とか言っていた。
そんなプライドを持っている理亜は面白い子だと思う。

「それじゃあ兄さん。洗い物はお任せしますけど。今は寝てしまって、起きてからでいいですからね?」

理亜が料理を作って、俺が洗う。
それは、俺が憑く前の一文字が行なっていた俺達2人の役割分担的なルールとなっていた。

「それと、兄さん。私は、やっぱり……諦めませんからね」

その言葉を、食べ終わるのを待ってから言う辺り、理亜
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