暁 〜小説投稿サイト〜
蒼き夢の果てに
第6章 流されて異界
第134話 弓月桜
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ていた少女。
 全体的な印象としては朝比奈さんに近い。彼女に比べると少し精神的な年齢が高いような気がしないでもありませんが、それでも妙に鋭角な雰囲気がある有希、さつきなどと比べると、色々と少女らしい柔らかな線で造り出されている。

 動物に例えるなら朝比奈さんの場合は小動物系。リスやハムスターなどの小動物系で、ハルヒは明らかに気まぐれな猫。有希と万結は……例えるべき動物がいない。
 そして、弓月さんは本来ならば籠の中で育てられた小鳥……でなければならないのでしょうが、俺が感じていたイメージは……キツネ。この辺りは朝倉さんと同じで、彼女自身に何か隠している部分があるように感じていたのですが……。
 まさか本当に神狐の血を引いているとは思いませんでしたが。

 しかし……。

 ………………。
 …………。
 ……。
 しかし、矢張り俺に取って彼女との出会いは今年の二月。ガシャ髑髏との戦いの際が最初。それ以外の記憶など……。
 そう結論を出そうとして、違う可能性がある事に気付く俺。
 それは――
 今までは、この世界からハルケギニアに繋がる矢印で転生を考えていた。この世界が出発で、ハルケギニアが到着。有希がそうであるように。しかし、もしかすると彼女の矢印は逆向きの可能性もゼロでは……。
 出会いが春の終わりから初夏に掛けてだと考えると、ハルケギニアで妖精女王と出会った頃が丁度その季節だったとは思う。
 ただ、その時に蓮の花が近くで咲いて居た記憶はない。
 彼女との出会いは蓮の花ではなく、紅に彩られた夜。彼女には何度も助けられたが――

 そう考え掛けて、何か違和感のような物を覚える俺。
 一瞬、何か重要な事に気付いたような……。

 巫女姿が板に付いた……。普段の華を感じさせない薄い影のような存在などではなく、清楚でありながら、清冽な印象の強い少女を見つめ直す俺。おそらく、今、俺の目の前に居る彼女が本来の彼女の姿。普段は周囲にあまり強い印象を残さない為に、有希や万結と同じように……とは言っても、極弱いレベルで自らに穏行の術を行使していたのでしょう。
 将来は古い家系の弓月を継ぐ事が確定していて、その時の伴侶すらも自らの意志で選ぶ事が出来ない。普通に考えるのなら、あまり多くの人間の印象に残る学生生活と言うのも問題がある、と言うのは理解出来る。

 ただ、重要な部分は其処では――

「武神さん」

 何かを掴み掛けて、しかし、届かない。そのような、かなりもどかしい状況。
 そのような俺を真っ直ぐに……但し、少しの哀しみを湛えた瞳で見つめる弓月さん。
 これは哀切、と言う感情か。

「弓月や高坂の家が何を考えていたとしても、貴方が気にする必要はありません」

 家に縛られるのは私だけで十分。貴方は
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