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蒼き夢の果てに
第6章 流されて異界
第134話 弓月桜
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要な事を掴み掛けて、しかし、彼女の一言で現実に引き戻される俺。掴み掛けた記憶の断片はするりと指と指の間を抜け、そのまま記憶の奥深くに再び沈んで仕舞う。

 成るほど、確かに神道の禊は厳しい。神道の帰依する神々は、その守護する者たちにも厳しい修行を要求する。
 その点では、タオの神々は大らかなのですが。
 但し……。

「まぁ、神道の禊に関しては少しばかり詳しいかな」

 今回は俺の方も、その禊を行ってからこの場に立って居ますから。
 もっとも、ハルヒに襟のホックを留めて貰い、有希に抱擁されながら物理反射の術を補充して貰ったり、肉体に科学的なドーピングを施して貰ったりしたので……。
 ついでに言うと、食事が昨日一日だけ禊用の食事だったので、こんな付け焼刃的な物が何処まで効果を発揮するのか、……に付いては少しばかり疑問なのですが。

 そう、神道は一切の穢れを払う術で有るが故に、その能力を振るう人間にも一切の穢れを寄せ付けない清を求めて来る系統も存在している。その神道の術を今宵の戦いで行使する予定の俺が、事も有ろうに禊の後に女性と抱き合っていたのですから……。
 矢張り、普段通りに仙術……タオの技能だけで乗り切った方が良かったのかも知れないのですが。

 但し、それが出来ない事情と言うヤツが俺の側に存在して居り……。

 足を止め、しばし見つめ合うふたり。
 形としては有希とふたりきりで居る時と変わらぬ形。しかし、心の形が違う。
 確かに俺の思考が目の前の事柄以外に向かって居る事が多いのは事実。ただ、有希の思考……想いは何時も俺の方へと向いて居たのは確実。

 今は――

 そう考えた瞬間、弓月さんが微かに笑った。普段の彼女に相応しい、少し翳がある。しかし、清楚な雰囲気の彼女に相応しい優しげで――
 そして儚げな笑みを俺に魅せながら。

「私もセーラー服を着て来た方が良かったですか?」

 しかし、その儚げな笑みに続く言葉が、俺のトラウマを微妙に刺激した……のですが。
 矢張り、彼女イコールハルケギニアの大地の精霊王。妖精女王ティターニアなのか――

 あのなぁ……と少し困ったように言った後、

「すまんけど、その顔と雰囲気で冗談を言うのは止めてくれるか」

 それではまるで、俺がセーラー服の美少女を連れて歩くのが好きだ、と言う微妙な性癖があるように感じるから。
 ……と、現実には巫女服のコスプレをした少女を連れ歩いて居る事を棚に上げ、明らかに苦笑と言うべき類の笑みを浮かべて答える俺。俺の周りに居る少女たちは冗談と本気の境界線が曖昧で、本気で冗談のような事を口にし兼ねないのが怖いトコロ。
 有希と万結。それに、キャラは違うけど相馬さつきなどは絶対に冗談を口にしないタイプだと思うし、弓月さん
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