第6章 流されて異界
第134話 弓月桜
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い。しかし、例えこれがはったりだったとしても、結局、戦力を動かす事は出来ない。
昨夜はその油断に付け込まれてハルヒを一度は攫われ、封印寸前まで行った犬神使いに逃げられる結果となったのですから。
ならば、ここと、旅館以外の場所に付いては……。
短い思考。その思考の最中も続く犬神使いの台詞。
それに、……と一度言葉を途切れさせた後に、
「アラハバキを召喚するには他で代用する事も出来るみたいだから、問題はないみたいだし」
あのニヤけた男が教えてくれたからね。
本来なら絶対に口にするはずのない内容まで口にする犬神使いの青年。但し、これは俺を警戒させるには十分過ぎる内容。
そして当然、アイツが何らかの方法で生け贄が代用出来ると言うのなら、それは紛れもない事実なのでしょう。
アイツ自身が歴史の改竄が出来る事実。更に、アラハバキ自身が自然現象を具現化した神などではなく、怨みや恨みの象徴として存在した神ならば、同じだけの大きな怨みを集める事が出来るのなら、高坂の人間に代わる生け贄として使用出来る可能性はある。
成るほど。自らが楽しむ為にはアフターケアも欠かさないと言う事か。見た目通り、結構勤勉なヤツだな。
自称ランディくんは――。そう考え、心の中でのみ軽く舌打ち。
ただ、もしかすると俺が水晶宮に応援を依頼したが故に、バランスを取る為に犬神使いの方に戦力の増強をしたのかも知れないのですが。
何故ならば、圧倒的な戦力でどちらか片方が蹂躙される物語など、アイツの好みではないでしょうから。
「さて、そろそろ時間が近付いて来ている」
結局、今の俺に出来る事を出来る限り、……と考えて打った策は今のトコロすべて不発。つまり、何処かからの援軍を期待する事は難しく、俺と弓月さんのふたりで一番ヤバイ現場をどうにかしなければならない。そう言う事が確認出来ただけだった。
「すべての。父上の望んだ世界がもうすぐ訪れる」
それまで後少しです、姉上。
作り物めいた笑みを口の端に浮かべる犬神使い。当然、その声に真実を告げる色を感じる事はない。
しかし――
しかし、彼女自身の意志をまったく感じさせない表情で、相馬さつきは首肯いたのだった。
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