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殺戮を欲する少年の悲痛を謳う。
8話 重ねて作る罪悪(シン)
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 「へ?」
 「すごい!」
 「でも必要あります?」
 メリラ、アーシャ、ミカエルはそれぞれ反応を示す。
 「その捕虜を利用して武器の補充や金銭の確保をしたい。まぁ、1人の命でどうにかなる問題でもないか」
 「そうですが、早めにその人を処理しないと危険じゃないですか?」
 ミカエルは人間をもののように扱う。別に悪いとは思わないが、デメリットだけを考え口走っているようにも思われる。
 「ミカエル。君の悪いところはそういうところだ。本で読んだ知識だが、女性は男性に比べて長期的な対策を試みる傾向があるらしい。男性はそれとは対照的に、その場凌ぎの対策を即席で考えつくと言われる。君の場合は極端でデメリットだけで行動している気がする。それだと肩身が狭まると思うんだよね。だから思い切って行動することも視野に入れよう」
 「カリヒさんはもう少し慎重に行動するべきです」
 「そうだね。でも今回は僕に従ってくれ」
 「わかりました。何かあればカリヒさんが対策をしてくださいね」
 「ああ。任せてくれ」
 僕は頷いた。
 「ところで、カリヒさん。武器はどれくらい確保しましたか?」
 メリラは出会ったばかりの頃よりも明るくなった気がする。僕はそれに対し、雑渡の数字を答えた。
 「多分M16を40丁くらいかな?」
 するとリーナが訂正した。
 「いえ。67です。それともう1つはガトリングです。まあ残弾が少ないので、一度きりの捨て札として使いましょう」


 その頃。クロノスはホテルの部屋に来ていた。
 「はぁ。カリヒは今何をしているんだ?」
 グラスに入ったワインを飲みながら言葉を呟く。特にすることもない午前2時。彼は一気に飲み干し、ベッドに飛び込む。
 「1人はいつまでたってもなれないな」
 ルースフェルトが殺され、メリラが寝返った為、クロノスの部隊は壊滅した。彼の隣にいる死神はカリヒが飼い慣らしている死神と同じものだ。それをクロノスは自覚していた。
 恐怖を死神と呼称した。
 カリヒもクロノスも恐怖を武器にしている。しかし、彼らの違いは、制御しているか、振り回されているかというところにある。
 これは大切な人を失ったクロノスと、大切な人が隣りにいるカリヒの違いでもある。
 そのことはカリヒよりもクロノスのほうがより深く理解している。
 「マシロ…俺はあと何回痛みを受ければ罪は償えるのかな?」


                                       …続く
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