暁 〜小説投稿サイト〜
殺戮を欲する少年の悲痛を謳う。
8話 重ねて作る罪悪(シン)
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くないから、ここをSRAの拠点にしようって思ってね」
 メリラは以前まで、カリヒに恐怖を覚えていた。しかし、今回の戦いで吹っ切れたおかげで、しっかり会話やジョークができている。
 「さて、ここで質問です。私達はカリヒさんに嘘をついてここまでやって来ました。さて、この場所をカリヒさんに伏せて私達が勝手に利用するか、カリヒさんに怒られる覚悟でここを共有するか。どうする?」
 メリラの大人びた対応に2人は目を見合わせた。
 「共有するに決っているじゃないですか」
 ミカエルはいつもより落ち着いた口調で唱える。
 「どうせカリヒさんは私達の行動を気づいていますよ」
 「そうですね」
 アーシャはミカエルに同意した。
 メリラは仕方ないとつぶやき、無線でリーナに連絡した。
 「こちらメリラ。リーナさん。応答してください」
 『こちらウィッチ。無線が横入りされるかもしれないから、基本的に本名は伏せてね』
 「すみません。えっと、こちらバンシー」
 メリラは焦って訂正する。
 「ナンバー3を買収。このまま占拠します」
 暗号を言うメリラ。それに対し、リーナが応える。
 『エンジェルに変わって』
 「はい。こちらはエンジェル」
 リーナはミカエルを指名する。
 「ご用件をお願いします」
 『鳩が家入ってきたからしばらく動けないわ。だから3日ほど工事する準備をして』
 直訳すると、警察が巡回をしているためリーナは車を動かせない。最低で3日、その場で暮らせる準備をしてとリーナは説明した。
 「わかりました」
 彼女たちに7ドルと、缶詰を10個持たせたため、3日は軽く生活できるだろう。それに工場内に何か金目の物があったらそれ以上居座れる。それを考えたリーナは最低日数を指定する。
 『じゃあご武運を』
 「はい」


 僕は座席を倒した状態で目を覚ました。
 「おはようございます。カリヒさん」
 「ああ。おはよう」
 僕が寝ている隣の座席からリーナは声をかけてくれた。僕はリーナに挨拶を返し、ファイルを取った。
 「ねえ。この、廃工場に3人は向かったの?」
 それをリーナに指さし、聞いた。
 「よくわかりましたね。あの子たちは隠すつもりでしたけど。どれを見てわかりました?」
 「そうだね。ここからリクライニングを倒すと、ケースが丸見えなんだよ。その中で、M16とアーシャのライフルが消えている。寝る前に気づいていたけど、突っ込むのがだるいからあえて言わなかった」
 「そうですか…」
 リーナは目を落とした。
 「今から車を出せる?」
 僕はスコーピオンのスーツケースとレミトンのスーツケースに手を伸ばしてこちらへ近づける。
 「無理です。警察がここに来ていますから」
 「そっか。じゃあ歩いてここまで行こう」
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