事の始まり
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Nの中継は中東某所。
独裁者の銅像が引きずり降ろされる生中継が映っていた。
日本は米国と同盟を結んでいる。
そして、現在の対米関係は良好だ。
どどめに、魔術協会がやらかした内政干渉を日本政府は忘れていない。
いくら国内で震災と新興宗教のテロがあったとはいえ、こっちで暮らす我々のような魔術師ですら思う所はあったのだ。
「『友好的な』同盟国による信頼できる情報によると、反米テログループのいくつかがこの国に入り込もうとしている兆候があるらしいわよ。
公安や内調をはじめとするお役所は現在、対策の真っ只中。
米国は協会だけでなく聖堂教会にも圧力をかけてきているわ。
反米テロ組織の跳梁を抑えこみたい時に、聖杯の活動が活発化するなんてね……」
神秘は秘蔵されている。
その結果、日本の冬木市で大量破壊テロが発生したというカバーストーリーが作られ、実際にテロを行っていた新興宗教にその罪がなすりつけられたのである。
そして、そのカバーストーリーに引きずられて、また冬木市でテロが起きるという隠蔽の精算が発生しようとしていた。
「で、私に何をしろと?」
「オブザーバーとして県警に入って頂戴。
私は先生の方のアドバイザーとしてつくから、現地の情報収拾をお願いするわ。
あと、冬木に近づいちゃ駄目よ。
令呪つけられて参加させられたなんて目も当てられないから」
「入らなくてどうやって現地指揮を取れと?」
私の呆れ顔に姉弟子様が苦笑する。
魔術師なんて現世から全力疾走で逆走している連中なのだ。
わざわざそれに関わるとろくな目に遭わない。
「京都があるじゃない」
京都。
日本における大霊地都市であり、陰陽師等を祖とする魔術組織の本部がある。
なお、神奈はタロットカードを使う占い師系統なのでこの国のオカルトにおける外様である。
「冬木がらみの現地対策の連絡室は京都に置く事になるわ。
県警、公安、内調、魔術組織の中に入って顔を売ってきなさいな」
姉弟子様は神奈の次期後継者を私にと指名している。
ようするにそのお披露目も兼ねているという訳だ。
「わかりましたよ。
本部に顔を出してきますよ」
こうして、聖杯戦争の外側で行われた、聖杯戦争以上の戦争を私は体験することになる。
まあ、この戦争すら生ぬるい戦争を私は体験してきたのたが。
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