第172話 襄陽城攻め5
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後、総攻めに参加する意思を示した。だが、その表情は参加したくなさそうだった。この地に黄蓋がいれば孫策も悩む必要も無かったろう。孫堅が太守の地位を罷免されるの分かっていなければ、孫策も参加しないことを考えたかもしれない。
「明日、孫仲謀に前線を経験させるつもりでいる。孫伯符、孫仲謀の姉であるお前の意見を聞かせてもらえるか?」
「車騎将軍、本気でしょうか!?」
孫策は正宗の提案に困惑しているようだった。
「孫伯符、孫仲謀は初陣なのだろう? 違うか?」
「その通りです」
「孫文台が孫仲謀を私に一時預けたのは初陣を経験させる意味もあったのであろう。初陣を私と同行したことは後々孫仲謀のためになるだろうからな」
正宗は孫策に言った。孫策は孫堅の意図が分からないでいたが、正宗から指摘されはじめて理解した様子だった。
「東門は既に崩壊している。そこから冀州軍を差し向けれ城内掌握も早い。内城に籠もる蔡徳珪軍も長く持たないはずだ。孫仲謀は私と共に城内に突入する。孫伯符、手柄が欲しければお前も同道せよ」
孫策は正宗の提案を黙って聞いていた。正宗は孫家に機会を与えたのだ。それを孫策も理解した。手柄次第で新たな官職を得る可能性があった。しかし、話が上手すぎると孫策は思ったのか口を開いた。
「車騎将軍、孫家に求めるものは何でしょうか?」
孫策は正宗を探るような視線を向けた。
「お前は感が鋭いな」
正宗は神妙な表情で孫策を見た。
「孫伯符、お前に嘘を言って余計な詮索をされるのも面倒だ。私は孫仲謀を家臣としたい。私は多くの文官を必要としている。東門を破った功績は功績として認めるつもりだ。更なる戦功を欲するなら総攻めで功績を挙げよ。孫家のためにもな」
孫策は正宗の放つ様子から彼が邪な考えや酔狂で言っている訳でないことを理解した。正宗の権勢を考えれば、文官は幾らいても足りない状況だろう。孫策も正宗の言葉に嘘は無いことを理解した。
正宗の要求は孫権を正宗の家臣として差し出すこと。孫権が権勢を持つ正宗の直臣になることは悪い話ではない。
孫策は頭では納得したようだが何か気にかかるのか表情が冴えなかった。
「直ぐに返事をせずともいい。論功行賞は襄陽城を落とした後のことだからな。孫堅と孫権にも相談しよく話し合った上で結論を出してくれればいい。孫仲謀が総攻めで前線に出ることはお前から本人に申しつけておいて欲しい。心配せずとも余の側だ。命に関わる戦闘にはなるまい」
「皆と話し合いお返事させてもらいます」
孫策は正宗に拱手し下がって行った。
孫策が立ち去り、正宗は周囲に人の気配が無いことを確認し口を開いた。
「孫策、つくづく感の鋭い女だ。しかし、あの様子では気づいていないよう
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