第172話 襄陽城攻め5
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たことで一気に功績が吹っ飛んだだけに、孫策も内心悔しさと母の命が助かった嬉しさが混在する複雑な気持ちだったことだろう。
孫策の表情は余計なことは言わないでおこうという様子で正宗をちらりと見た。
「長生きしたいなら次は命令に従え」
正宗は短く孫策に言った。その言葉には多くの意味が込められていることは孫策は何となくだが感じしていた。
「車騎将軍、御自らからの出陣していただく結果となり申し訳ございませんでした」
孫策は一瞬不満げな顔に変わるも正宗に黙って謝罪した。彼女にしては母孫堅の暴走に巻き込まれた被害者であるため、正宗に謝罪することが納得出来ない様子だった。しかし、家長である孫堅が傷で倒れている以上、孫家として謝罪する人間は孫策しかいないのも事実だった。
「孫伯符、申し開きがあるなら聞こう」
正宗は孫策に聞いた。孫策は沈黙してしまった。彼女は夜襲を計画したわけではなく、なし崩し的に戦闘へ参加させられたため考えがまとまっていない。孫策は困った顔になる。こんな時に弁の立つ人材が側にいてくれたら善かったと思っているのかもしれない。ないものねだりをしても意味がない。孫策は沈黙したままでは状況が悪くなるため孫策は知恵を巡らし口を開く。
「申し開きのしようもございません」
孫策はとりあえず拱手し謝罪した。正宗は孫策を凝視した後、彼女に背を向けて後ろでに手を組んだ。
「孫伯符。蔡徳珪討伐後、孫文台の長沙郡太守の官職は罷免する」
正宗は淡々と孫策に伝えた。彼の表情からは感情が読み取れなかった。
孫策は顔を伏せたまま苦虫を噛む表情に変わる。彼女も正宗が孫堅の不手際に対し処罰を下すことは予見していただろう。彼女は怒りを感じているようだった。しかし、気持ちを抑え正宗の言葉を黙って聞いていた。
「孫伯符、余の決定に不服か?」
正宗は振り返らず孫策に言った。孫策は身体を強張らせて顔を少し上げ正宗のことを伺った。彼女は正宗の背中を捉えると安堵し顔を再び伏せた。
「いいえ。不服はありません」
正宗はしばし沈黙した。孫策は動揺していたが平静を装うと気持ちを落ち着かせようとしていた。
「私からの話はこれで終わりだ。孫伯符、下がって構わん」
「此度は本当に申し訳ございませんでした。母が回復したら、日を改めてご挨拶に伺わせていただきます」
孫策は正宗が背を向けていることをよいことに不満げな顔で返事をした。そして、孫策は立ち去るために立ち上がろうととして止めた。
「一つ聞いてもよろしいでしょうか?」
孫策は正宗に言った。
「申してみよ」
正宗は振り返ることなく孫策に話を続けさせた。
「何故、車騎将軍は母を救出してくださったのですか?」
孫
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