第172話 襄陽城攻め5
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それは孫策だった。孫策はばつの悪そうな顔で沈黙していた。
「今から車騎将軍の所に行かなくちゃいけないんだけど凄く行きづらいわね」
孫策は蔡平の去った方向に視線を逸らし溜息をついた。孫権と甘寧と言い争いをして不機嫌だった孫策であったが気分は落ち着いているようだった。外気に当てられ気持ちを落ち着かさせることができたのだろう。孫策の様子から正宗と蔡平の遣り取りを気配を消し聞き耳を立てていたようだ。
孫策は次に視線を正宗の天幕がある方向に目を向けた。
「何でこんな時にこんなことに出くわすのかしら」
孫策は正宗を訪ねる気になれないのか正宗の天幕のある方向と自分の本陣のある方向を交互に視線を移動させていた。
「何か行きづらいわよね。つうか。あれ何なの? 一瞬別人じゃないのかと思ったわ。私達に非道い扱いをする癖にあれ何なのよ」
孫策は気落ちしていたが最後は不満げな顔で愚痴りだした。
「行きたくないけど。行かないわけには行かないわよね。明日は忙しいだろうし、今日中に礼言っておかないと今後顔会わせづらいだろうし」
孫策は頭が痛そうな表情で独り言を言った。
「行くわ! 深く考えない方がいいわ。あれは見なかったことにする。そうよ。あれは見なかったの!」
孫策は自分に言い聞かせると、彼女は正宗の天幕に向かって歩き出した。
孫策は時間を潰しながらゆっくりと正宗の天幕にやってきた。あまりに早くつくと正宗と蔡平の会話の内容を聞いたと勘ぐられることを避けようと考えての行動だろう。だが、正宗は孫策の存在については気づいていた。だが、蔡平との会話を中断するのもまずいと考え、正宗は素知らぬ顔で蔡平との会話を続けたのだった。孫策の小細工は正宗にとって何も意味をなさなかった。
「私は孫伯府。車騎将軍に母救出の礼を申したくまかり越しました。車騎将軍にお目通りをお願いしたい」
孫策は正宗の天幕の入り口を警備している衛兵に声をかけた。彼女は天幕に案内された。
「孫伯府、孫文台の容態はどうであった」
正宗は天幕内に入ってきた孫策に対して開口一番に孫堅のことを聞いた。彼は孫堅の身体の状態はある程度理解していたが、あれから四刻(一時間)位経過していため容態が悪化していないか気になったのだろう。
「おかげさまで大丈夫だと思います。先ほど、母の所に行きましたが疲れのためか眠っておりました。車騎将軍、この度は母をお救いくださりありがとうございました」
孫策は片膝を着き拱手すると正宗に礼を述べた。夜風に当たり頭を冷やしたのか殊勝な態度で正宗に謝罪した。孫堅が東門を突破したまでは善かったが、その先が不味かった。母、孫堅が無事に生還できたので孫策は文句を無いだろうが、正宗の助成で助かっ
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