第二百四十話 果心居士その四
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「既に」
「そうか、ではな」
「あの者達の妖術は左道です」
「妖術の中でもじゃな」
「陰陽道、仙術と混ざっていますが」
その妖術にはというのだ。
「その本質はあくまで、です」
「左道か」
「日向のものではありませぬ」
「闇のものか」
「そこから一歩も離れませぬ」
闇の世のものからというのだ。
「全く」
「ではな」
「はい、あの者達の術は光に弱いです」
「光か」
「日輪にです」
まさにそれにというのだ。
「弱いです」
「日輪というがな」
「上様は日輪の力があります」
「わしにはか」
「はい、それ故にです」
「わしに何度も害を為そうとしてきたのじゃな」
「ですが」
それをしようとしていた、しかしというのだ。
「それでもです」
「わし自身にはか」
「日輪であられる上様ご自身にはです」
「手出し出来なかったか」
「それで周りからだったのです」
信長を害し滅ぼそうとしたというのだ。
「それこそ何度も」
「そうしておったか」
「はい、ですから上様ご自身にはです」
「奴等の術は通じぬか」
「光、日輪そのものの上様には」
「そうか、しかしな」
信長は自分には魔界衆の術が通じないことはわかって納得した、だがそれでもとだ。ここでこうも言ったのだった。
「軍勢全体をじゃ」
「その術からですな」
「守ったうえで勝ちたいが」
「はい、そのこともです」
「既にか」
「それがしは突き止めています」
果心居士は信長に確かな声で答えた。
「既に」
「そうか、ではどうすればよいのじゃ」
「具足や武具、砲弾の球等にこの言葉を書いて下さい」
こう言ってだ、果心居士はその服の懐から一枚の紙を出した。信長は平手の仲介を受けてその紙に書いてある呪文を読んで言った。
「陰陽道の呪文じゃな」
「はい」
「それもかなり古い」
「陰陽道を基として」
そのうえでというのだ。
「そこに仙術等も入れました」
「そうしたものか」
「左様です。錬金術のものも入れました」
「そういえば南蛮の文字もあるのう」
信長は紙に書かれている呪文の中にそれも見て述べた。
「これがか」
「はい、まさにです」
「錬金術のものか」
「魔術のものもあります」
「どちらも南蛮の術であったな」
「どうやらあの者達は南蛮の妖しき者達とも結託しています」
既にというのだ。
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