第二百四十話 果心居士その二
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「ならば生きて味わって欲しいのじゃ」
「泰平の世を」
「そう思ってじゃ」
「私達を育てて忍術を教えてくれたんだね」
「一風変わったな」
忍術の中でもというのだ。
「そうしたのじゃ」
「そうだったんだね」
「魔界衆は長きに渡ってこの国を闇から害を与えんとしてきた」
「それは古の書にあった」
信長がまた言った。
「比叡山等の奥に埋もれていた中にあったな」
「はい、まさに神武帝が大和に来られた時よりです」
「あの者達がおってだな」
「大和朝廷に征伐されたのですが」
「闇の中に隠れてか」
「はい」
まさにというのだ。
「常に蠢いていました」
「そう書いてあったがな」
「はい、そして常に本朝を守る者と戦ってきました」
「神武帝にはじまりじゃな」
「そして日本に害を為そうとしていました」
「そうであったな」
「朝廷、幕府とも争い」
鎌倉、室町双方の幕府とだ。
「高僧や陰陽師とです」
「様々な者と戦って来たな」
「そうした者達です、そして」
「御主もか」
「生まれて五十年、いえ四十年程経ち」
「その頃からか」
「あの者達のことを知ってです」
そのうえでというのだ。
「天下を守る為に戦う様になりました」
「そして飛騨者達も育ててか」
「天下を守ろうとしておったのです」
「しかし天下は乱れたが」
信長はあえて戦国の世のことを果心居士に言った。
「それはあれじゃな」
「はい、幕府がです」
「弱まったのじゃな」
「魔界衆は何もしてませんでした」
その時の彼等はというのだ。
「義政公の時ですな」
「応仁のな」
「あの時は幕府の中がです」
「勝手に乱れてか」
「はい、そしてです」
「東軍と西軍に分かれてしまい」
「乱となったのです」
応仁の乱、そして戦国の世になったというのだ。
「魔界衆の者達はそこに付け込みました」
「そうなったのじゃな」
「しかしです」
「あの者達はあの時はか」
「幕府を乱してはおりませんでした」
陰から、というのだ。
「そうせずとも衰えていたので」
「義教公が赤松氏に殺されてからな」
「義教公は焦っておられました」
「幕府の復権にか」
「そして魔界衆も知り」
「あの者達を討つ為にもか」
「幕府の力を取り戻されようとしていましたが」
しかし、というのだ。
「そのやり方があまりにも強引で」
「かえってじゃな」
「天下の反発を招き」
「赤松氏にも危惧されてな」
当時の赤松家の主である赤松満祐にだ、彼は自分が殺されると思ってそれで討たれる前に行動に移ったのだ。
「そのうえでじゃったな」
「魔界衆も動こうとしましたが」
自分達に気付いた義教を討つ為にだ。
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