第二百四十話 果心居士その一
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第二百四十話 果心居士
信長が主の間に入ると既に飛騨者達が集まっていた、見れば飛騨者達は確かな笑みでいた。その彼等がだ。
主の座に座った信長にだ、礼をした後で言って来た。
「上様、この通りな」
「お師匠様が来たよ」
「狼煙をあげた今日のうちにな」
煉獄と大蛇、からくりが言って来た。
「お師匠様は千里眼だからな」
「しかも縮地法も知ってるからね」
「それこそ何処にいてもあっという間に来るんだよ」
「御主達少しはしゃぎ過ぎではないのか」
場には平手もいた、平手はその彼等を咎めて言った。
「自分達の師に久方ぶりに会って嬉しいのはわかるが」
「いやいや、それは何というか」
「確かに嬉しいことは嬉しいけれどね」
「これで魔界衆の妖術を破れると思えば」
それで、とだ。煉獄達は平手にも相変わらずの態度で答えた。
「はしゃいでいるつもりはないがな」
「嬉しいことは確かだからね」
「それが出ているかもな」
「全く。して上様」
平手は飛騨者達を咎める目で見終えてからだった。信長に顔を向けて述べた。左手、間の真ん中にいる老人を手で指し示しながら。
「こちらがです」
「果心居士ですじゃ」
老人も名乗った、木の枝の様な身体に質素な麻色の服を着ている。髪も髭も長く雪の様に白い。その老人が名乗って来た。
「飛騨者達の師でした」
「うむ、話は聞いておる」
信長はその果心居士に鷹揚な声で応えた。
「忍術だけでなく仙術もじゃな」
「はい、そうした術もです」
「かなり通じていると聞いておる」
「お呼び頂いた理由はわかっています」
単刀直入にだ、果心居士は信長に言って来た。
「魔界衆の妖術をですな」
「そうじゃ、先の伊賀での戦では使ってこなかったがな」
「次の戦では」
「わからぬ、いや間違いなく使って来る」
その妖術をというのだ。
「だからな」
「それがしによあの者達の妖術を破る術を」
「教えて欲しいがよいか」
「はい」
果心居士は信長の頼みにすぐに答えた。
「さすれば」
「聞き入れてくれるか」
「あの者達のことは知っておりました」
当の果心居士もというのだ。
「それがしも何度も戦ってきました」
「そうであったのか」
「はい、それでこの者達もです」
今度は飛騨者達を見た、そのうえでの言葉だった。
「育てておりました」
「魔界衆をち倒す為にか」
「まさに」
「そうだったんだね」
萌は自身の師の話を聞いて目を丸くさせて言った。
「お師匠様私達にずっとやるべきことがあるって言って色々教えてくれたけれど」
「それがじゃ」
「あの連中と戦うことだったんだ」
「戦いそして勝ちじゃ」
そのうえでというのだ。
「生きて泰
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