番外『交わる世界』
交節・『戦慄』なる者と吹きすさぶ【禍風】
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術や足捌きともに迷いがなく、単なる回避や開脚を使う絡め手も難なく実行してきたのが、良い例だろう。
フォラスも棒立ちで薙刀を振うのではなく、己の敏捷度を活かして間合いを調整してはいるのだが、結果はご覧のとおり……中々一定距離から離れてはくれないのだ。
(でも切り替えるにしたって―――いや、やってみないとね!)
ニヤリ……フォラスは口元に笑みを浮かべ、デュエル開始前とは違うリズム、違う動きで体をゆらゆら揺らし始める。
グザの目が、特徴的な軌道を描く穂先へ気を取られた……その隙に【隠蔽】スキルを発動。
俊敏さをフルで発揮して、立て直すべく走行し距離を取る。
後ろへ、後ろへとかっ飛んでいく視界の中……
「おーいおい、何処へ行こうってんだい」
「うわっ!?」
すぐ後ろにグザが付いて来ていた。
武器を向けて居ないこと、そして恐らくフォラスよりも彼のスピードが上だと言うこと。
色々な要因が重なり、寧ろ先程までより距離を詰められて居る。
「シィアッ!」
更に、ギアを一段上げたと思えば、グザは思い切り飛び蹴りを放ってきた。
何とか前転するフォラスだが、速度を殺し切れず予想以上に転がっていく。
みっともないが、そんな贅沢を言ってられる状況ではない。
「ギィリャアアアッ!」
「ぬぅ……あぁっ!」
どうもドラゴンキックばりの一撃で、彼の頭上を飛び越していたらしいグザが、フォラスの顔面へ容赦のないフロンハイキックを噛ましてくる。
相手の体勢が不安定な事もあり、如何にかフォラスは逆にグザを押し退けてやる。
「シュウウッ……!」
が、その間隙は一瞬。
仰け反りながら草地に手をついたグザは跳ね起きから踵落としを決めてきた。
その勢いに乗り体勢を崩し、トーマスフレアに酷似したアクロバット蹴りで追撃を打ち込んできた。
続けてハイキック―――に見せかけた踏み込みフェイントから肘打ちし、フォラスが危うい所を【雪丸】の柄で防げば、グザは後方宙返り。
頭を柄擦れ擦れな位置にて通らせながら、フォラスを悠々飛び越した。
「ヒハハ!」
「この……ってうわっ!?」
距離を取る前に足を脚で払うとまたもバック宙しながら頭上を越し、寝転がったフォラスの首目掛けてギロチンさながらの右脚が吸い込まれていく。
慌てて起き上がるも背中に鋭い衝撃が走り、2度目の前転を強制される。
後ろへとフォラスが目線だけ向ければ、今まさにグザが短槍を突き出したばかりの格好で固まっていた。
「はああぁぁっ!!」
距離を取ろうとフォラスが、空気を穿たんばかりに突きだした薙刀に対し―――意外に
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