番外『交わる世界』
交節・『戦慄』なる者と吹きすさぶ【禍風】
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飛ばした》だって……?)
更に言うならそのアマリの持つ斧は、今存在する攻略組のプレイヤーのメインウェポン中最大重量を誇り―――アマリ本人だけだというなら未だしも、それを手にした彼女ごと飛ばすのは“不可能”に近い。
目の前の男の不可思議さが、加速度的に増していく。
「それで如何すんだい? お前さんも、オレちゃんと闘うんかい?」
“少女”が深い深い思考から解き放たれたのは、男性が未だに其方を向かぬままに声を掛けてきてからだった。
「闘うよ。元よりその心算で来たんだしね」
「ヒヒハハハ! そうかいそうかい、了解したわな」
腕を添え、肩へ凭れかかるよう置いていた槍を蹴りあげると、手慣れた動作でキャッチしクルクル弄び始める。
“少女”もまた己の得物である薙刀を抜き、右指を揃えて振ってメニュー画面を、次にデュエル申請のボタンをクリックする。
デュエルすることは決まっているので特に突っかかりも無くするする受理され、頭上にカウントダウン表記が現れた。
男性の方は『グザ』と言うらしく、『フォラス』と言う名の“少女”は、そういえば名前は知らなかったと今になって気が付いていた。
「へぇ、フォラスかい……有名だわな? 女みたいな男性プレイヤーだって」
「あははは、なんか変な方向で有名なんだね」
……訂正、どうやらフォラスは少女ではなく“少年”であった様だ。
それに対してグザも殆ど驚いていないあたり、大して秘密裏にされている事柄でもないらしい。
尤も―――真剣身を帯びた空気が漂う所為で、そんな方向へ思考を流している暇など、もう既に存在していないのだが。
(……槍使いなんだ)
このデュエル開始数十秒前と言う限られた時間の中、まずフォラスが注目したのはグザのメインウェポンだった。
フォラスの薙刀【雪丸】は、刀身込みで三メートル近い長さを誇る“遠距離系武器”であるのに対し、グザの槍は二メートルあるかも疑わしい片手槍であり、どちらかと言えば“近距離武器”に入る。
リーチで有利なのは最早言うまでも考えるまでも無く……しかし、それに奢る事をフォラスは決してしない。
何せ相手は己の相棒・アマリに勝ち、前線を一人で生き抜いてきた、未知の部分が大きい初対面のプレイヤー。
見た限りではヘラヘラした笑いを崩さないが、その顔の裏に何を考えているのか、フォラスには皆目見当など付かない。
何より腕脚が長く、身長すら如何見ても190代はあり、武器を含めぬプレイヤーそのもののリーチは彼の方が上。
間合いを紛えばピンチとなる事受け合いだ。
そうしてフォラスもグザも構えを見せずに、間もなくカウント十五秒前になった途端
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