番外『交わる世界』
交節・『戦慄』なる者と吹きすさぶ【禍風】
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である。
更にヘアバンドを巻いている事から、恐らく正面から見ると目が半分隠れているであろう事も窺え、そんな不気味に不気味を足した容姿に似合わない、繊細な『勿忘草色』の短髪もまた目を引いた。
予想外にも程がある容姿から固まってしまった“少女”に、男性は背を向けて居るからか、ブルーベリー色のパイプを吸いながら、時折濃く蒼い煙を長く吐き出す。
当然、背後の“彼女”には気が付いていない。
「……こりゃ珍しい。日に三度も来客があったのは、今日が初めてやね」
―――――かと思いきや何と、後ろにも目が付いているのか、男性が“少女”へ話しかけてきた。
“少女”もまた混乱からはすぐに立ち直り、まずは此方からも言葉を返すべきだと、笑みを浮かべて口を開いた。
「へぇ、大盛況だったんだ。誰が来たの?」
“少女”のその言葉に目の前の男は、一旦煙を吐き出すと苦笑し、
「一人目は兎も角、二人目がちょいと狂気じみてたわな。『いくですよー』とかぽや〜っとしてた癖に、デュエルが始まった途端『あっはぁ!』とか笑いながら斧ブン回してきたやね。やー驚いた驚いた、っと」
「……えっ?」
告げられた詳細に思わず、と言った感じで“少女”の目が軽く見はられた。
それもその筈―――実は、今しがた男性が告げた人物の特徴こそ、“彼女”の友人であるアマリの物なのだ。
使う武器然り、狂気染みていたという所然り、そして笑い声然り。
これで別行動であった理由がハッキリし、“少女”はそんな行動など何時も通りなのか苦笑を浮かべていた。
「そういえば……そのプレイヤーはどうだった?」
「パワー方面に吹っ切れ過ぎでなぁ。防御力は高かったが、本体が致命的に遅いのよ。……ま、取りあえず簡単に言うなら『蹴っ飛ばして』勝ったわな……フゥ〜ッ……」
「……!」
まるで何でも無い事の様に告げられた勝敗内容に、今度こそ“少女”の眼は思い切り見張られる。
蹴られた事を怒っている訳ではない、アマリが負けた事に驚いているのだ。
しかも……憶測となるが、言いぶりからして[別段苦戦もせずに]勝ったのだろう事に、驚愕を隠せないでいるのだ。
アマリは決して弱くは無い。
それどころか先に挙げられた《血盟騎士団》幹部プレイヤーよりも実力は上。
加えてパワーが尋常ではなく、掠り傷さえ致命傷となり得る。
今やトッププレイヤー内の実力ランキングでも、上から数えた方が早いぐらい屈指の力を誇るのがアマリ―――――にも拘らず、目の前の男は勝ってしまったのだ。
ギリギリではなく、ごく普通に。
まるで、何でも無い事の様に。
(アマリを……“あの” 重量を蹴っ《
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