番外『交わる世界』
交節・『戦慄』なる者と吹きすさぶ【禍風】
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デスゲームたる『ソードアート・オンライン』―――その部隊、浮遊城・アインクラッド。
百層からなる構造を持つ城の中でも、取り分け景観が良いとは言えない…………具体的に言えば空が一面厚い雲に覆われ、雨の降りやまぬ湿度の高い森林地帯。
黒雲で太陽が見えないと言うのに、それに加えて鬱蒼と木々が生い茂る為、陽の光を殆ど遮っており昼間なのに視界が悪くなっている。
そんな、出来れば歩きたくない林道を一人の“少女”が、雰囲気に似合わぬ軽い足取りで歩いていた。
痩せ型小柄な体型に、ポニーテイルな黒髪と可愛らしい黒眼、そして150p前半代の低身長。
黒い装備も相まって正に全身 “黒尽くめ“ であり、この薄暗い雨中な森林では、逆に影が浮いて目立つ程だった。
「そう言えば此処に居るんだよね……件のプレイヤーが」
“彼女”はそう呟き、先に話し合われていたトッププレイヤー達の会談を思い出す。
その話をまず簡潔にまとめれば、攻略を進めている最中にとある一人の男性プレイヤーと、トップギルドである《血盟騎士団》の一部隊が出会ったらしい。
だが、何故に話題として上がったのか?
……出会ったそのプレイヤーはパーティーも組まず一人であったものの、ソロプレイヤーならば数が少ないだけでちゃんと前線にも存在している。
ならば、何がおかしかったのか―――――それは彼が、今の今まで『全く知られていなかった』プレイヤーだったからなのだ。
オマケに実力が規格外に高く、何故ずっと名を轟かせなかったのか不思議に思えるぐらいで、生真面目な《血盟騎士団》の副団長などは “明日からでも攻略に参加しろ” と詰め寄ったほど。
……尤もその小言は、相手の『一応ボス戦以外では、ちゃんと参加していたんだけど』との言葉で、詰まらざるを得なくなったらしい。
だが謎を残していることには変わりなく、その所為で瞬く間に噂が駆け巡り、“少女”もまた耳にした―――と言う訳だ。
されど、実際の所 “少女” の興味は、謎だの攻略に参加しろだのと、そんな当然かつ真面目な所には無い。
“彼女” が気にしているのはもう一つの噂……攻略組プレイヤーとのデュエルと、その勝敗に有った。
何でも、とある一人の《血盟騎士団》に所属する幹部プレイヤーが、傍から見れば中々動かない様に見える彼に痺れを切らし、『初撃決着モード』のデュエルを挑んだのだとか。
勿論、それは“彼”の身と攻略効率を案じての事だし、受けるデメリットも無いからと、“彼”の方もまたヘラヘラ笑いながらそれを受けたらしい。
そして行われたデュエルの結果は―――――
「う〜ん……まさか、開始“一秒ちょっと”で瞬殺とはね」
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