【第1部】
【第1章】幼子世界を超える。
溺愛の兆し。
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「リヴァイ。これを。」
エルヴィンは長い布を広げてリヴァイに見せましたが、リヴァイは眉間に皺を寄せて『それは何だ?』という顔をしました。
エルヴィンの心なしかキラキラとした笑顔に一抹の不安を覚えたリヴァイは大人しくだっこされているゆずを見て大きな声を出せない自分にため息が出ます。
「それで、それは何だ?」
「抱っこ紐だよ。世の母親たちはこの長い紐をうまく使って子供を抱いている状態で固定するらしい。立体起動を使うなら突然子供が暴れたら落としてしまうだろう?安全のために使うべきだ。」
「ふざけるな。断る。」
「ゆずが怪我でもしたらどうするんだ?リヴァイ。君の立体起動は巨人に対してはその動きはとても有効だが、誰かを抱えて飛ぶには不安定すぎる。」
そう、リヴァイの立体起動の飛び方は、地下街育ちであるリヴァイ独特の使用方法であり、訓練兵からの過程を経ていないその使用方法は、小さな子供を抱えて飛ぶには不安定すぎるのです。
もちろんリヴァイ自身はゆずを落とすミスなどするはずもないのですが、子供の突発的な動きに『もしも』の時を考えてしまいました。
「・・・・・。チッ。」
「ああ、それと・・・。まだその子は夜オムツをつけるだろう?」
「・・・・あん?おむつ・・・?」
何を言っているんだという顔をしたリヴァイに、エルヴィンは真剣な表情で知り合いの女性の話を出しました。
「私の知り合いの女性でね。5歳くらいの小さい子供がいるんだが、3歳前後の頃の子供の話を聞いたことがあってね。ゆずくらいの子供はおむつを着けているか、トイレトレーニングというものを始めていることが多いそうだよ。それに夜は必ずおむつをしている時期だろう。準備しておかないと、リヴァイ。君のベッドが大変なことになるぞ?」
「・・・・はぁ。それは困る。」
エルヴィンの言葉に小さく頷いたリヴァイは痛くないように注意しながら布を自分とゆずに巻き付けると、兵舎に戻ったら馬で町へ出ようと決心したのでした。
きょとりとしたゆずの頭をエルヴィンが優しくなでると、ふにゃりと照れたように笑い、『なでなでっ。』とリヴァイに報告し、『そうか。良かったな。』と小さく返します。
「ゆず。また今度遊びにおいで。リヴァイの言うことをよく聞くんだよ。」
「う?えりゅ。ばいばいっ。」
今度こそゆずは、母親のいるところへ連れて行ってもらえるのだと思っています。
リヴァイの顔をにこにこと見上げて、はやくはやくと瞳で語っていました。
すると足元で、ここへ来る時に聞いた空気の噴出す音が聞こえて、ゆずは体を硬くしましたが、リヴァイは先程の言葉通り高く飛び上がることも回転しながら飛ぶこともなく、なるべく低く、なるべく垂直に飛んでくれているようです。
ゆずも
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