アインクラッド編
平穏な日々
紅色の策略 01
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「あ、団長。 それは私が……」
「客人をもてなすのはホストの仕事だ」
上司にお茶汲みをさせるわけにはいかないと判断したアスナさんをあしらって、悠々とお茶(とか言いながらコーヒーだ)を用意し始めたヒースクリフ。
この男の揺るがないところはアスナさんも理解しているのだろう。 それ以上は何も言わずにソファーに座った。
ちなみに僕は既に座っている。 ヒースクリフに対して遠慮は無用だと言うことはこれまでの付き合いで学んだことだ。
「さて、君たちの用件はキリト君が血盟騎士団に入ることかな?」
「僕がそれ以外でここにくると思う?」
「つまり、抗議をしにきた、と?」
「それこそまさかだよ。 何を言っても無駄でしょ?」
「……ふむ。 舌戦では分が悪いな。 君の望みを言い給え」
ひょいと肩を竦めてみせるヒースクリフだけど、そこにユーモラスさはない。 あるのは底知れぬラスボス感だけだ。 まあ、それこそこの男には相応だろう。
コトリと目の前に置かれたコーヒーを飲んで、僕は小さく息を吐いた。
ここから先が僕の仕事だ。
検討した案をそっくりそのままヒースクリフに承諾させる。 妥協点はない。
一応、アスナさんには説明しておいたけど、それでもやっぱり不安なのだろう。 僕の隣で身を固くしたまま動こうとしないでいる。
「今回のデュエルを大々的にやって欲しい」
ヒースクリフは短く「ほう」とだけ言い、無言で先を促した。
「イベントにして欲しいって言えばわかりやすいかな? イベント。 それこそ、アインクラッド中に轟くような、そんなどでかいイベント」
「ふむ」
「デュエルは明日。 開催場所は昨日アクティベートしておいた75層の主街区、コリニア。 転移門広場に隣接したコロシアムがあったから、そこを利用。 今から情報屋をフルに使って宣伝してもらうとして、入場料を取れば血盟騎士団の財政的にもウハウハでしょ? ついでにあなたの最強の称号が不動のものになるわけだし、一石三鳥だね」
「……君はキリト君が負けると思っているのかな?」
「そっちは確定だよ。 あなたは絶対に負けないでしょ? 少なくとも現時点では」
含みを持たせた笑顔を向けると、ヒースクリフはあっさり頷いた。
もう少し焦ってくれるかとも思ったけど、そこはさすがの聖騎士様。 焦りも動揺も見られない。
「では、そのように手配しよう。 情報屋への依頼料はこちらで持つ。 アスナ君」
「は、はい!」
「ダイゼン君を呼び給え。 彼と細かい話しを詰める」
はい、ともう一度生真面目な返答をすると、そのまま部屋から出て行ってしまう。
ダイゼンさんと言うのは、確か血盟騎士団の経理担当のプレイヤーの名だ。 団長の前
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