Chapter 5. 『あんたを倒して俺は帰る』
Episode 29. Academic Revolution
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できるのかを瞬時に判断する。それにより、初見の敵が相手だろうと、アイツは確実な勝利をもぎ取れるようになっていた。
……と、今まで受けっぱなしだったケイタが、ここでついに反撃に出た。
斬りおろしの直前にヴォルケの脇が開く。それを逃さず捉え、振り下ろされる大剣を上体をうねらせるようにして躱しつつ、懐へ肉薄。
ほぼゼロ距離の状態から顎先に掌底一発。続けて身体をコンパクトに捻って回転し、猿臂、裏拳、シメに棍の逆手突き。小攻撃の連続ヒットで着実にダメージを与えていく。
が、相手もやられっぱなしじゃない。逆手突きの後に開いた間を突き、ヴォルケの足払いがケイタにヒットした。
筋力差に押され、ケイタがそのまま後方へと倒れ込む――かと思ったが、なんとケイタは倒れる勢いそのままに片手倒立を決め、自由になった足で追撃の一撃を跳ねのけてみせた。曲芸のような脚撃に、ヴォルケの怜悧な表情が驚愕の色に染まる。
その隙をケイタが逃すはずは無かった。
逆立ちのまま両足で相手の首に組みつき、仮想の腹筋を総動員して地面に叩きつける。反動を利用して跳ね起き、大上段に棍を振りかぶって、
「――トドメだ!!」
相手の顔面を砕かんばかりの勢いでブッ叩いた。
ヴォルケのHPは一気にイエローまで減少。直後、試合終了のブザーと共に、上空に一枚のウィナー表示が出現した。
『WINNER Keita! TIME:01:58』
◆
「よお、お疲れ」
試合終了後、表彰式の準備ができるまでの間の時間を使って、俺はケイタの控室に来ていた。流石に緊張とか疲労で消耗気味だが、まだまだ元気そうに見える。
「わりーな、ウチの相方は野暮用があって来てねえんだ。パーティーには間に合うから、そん時のプレイバック映像鑑賞で勘弁してやってくれ」
「いや、忙しい中来てほしいって無理を言ったのは僕の方だし、それだけでも充分ありがたいよ」
相変わらずの人の好さそうな顔に笑みを浮かべたケイタは、そう言ってから、ふと真顔になった。
「……一護さん、貴方のおかげで今、僕はこうして強くなれた。サチを苦しみから救ってくれて、僕らを強くしてくれて、すごく感謝してる。本当に……本当に、ありがとう」
「ンだよ、急に改まりやがって。礼なんて前に山ほどもらったっつの」
真摯に礼なんて言われると、なんかちっと照れくさい。それを誤魔化すように、ケイタから返答がくる前にさらに言葉を重ねる
「それに、オメーらが生きて強くなってくれりゃ、俺やリーナは十分満足だ。師匠と弟子、なんて気取るつもりもねえし、俺らの関係ってのは、多分『さんきゅー』『おう』くれえで丁度いいんじゃねえか?」
「そ、そんなに軽かったけ?」
「軽いじゃね
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