Chapter 5. 『あんたを倒して俺は帰る』
Episode 29. Academic Revolution
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が迫るが、ケイタは無理をすることなくバックステップで回避。短髪の下の双眸を涼やかに保ったまま、相手の出方を見ている。
再びヴォルケが突撃し、今度は地を割らんばかりの斬りおろしを繰り出した。さらに攻撃の手を緩めず、そこから斬り上げ、水平斬りへと繋げ、ケイタを間合いに入らせないように猛攻撃を仕掛けていく。
嵐のように荒れ狂う剣戟。レベルからして、多分俺が食らっても無視できない程度のダメージを秘めていると思われる剛の連撃を、しかしケイタは全て受け流していく。
完全には受け止めず、しかし手放しで回避することもなく、柳のようなしなやかさで根を操り、敵の連撃を捌く。その手並みの鮮やかさに、見ている観客からも「おお……!」という感嘆の声が上がった。
「なんつーか……相性がいい相手と当たった、って感じだな」
「そうだね。ヴォルケ君は見ての通り、火力で押し切るスタイルなんだけど、如何せん武器の性能や自身の身体能力に頼りすぎてしまう癖があるんだ。モンスター相手や同じ筋力重視のプレイヤーとの対戦にはかなり強いんだけど、反対にケイタ君みたいな相手の動きを学習していくタイプには弱い」
「上層じゃモブ連中のAIも厄介になってきてるし、尚更致命的な欠点だろ。今のケイタなら初見でも上手くやりそうだけどよ」
「うん、彼はこの一年半で相当上達したよ。多分、戦闘能力に関してはオレなんかよりも遥かに上だろう。一護君やリーナさんに師事した甲斐があったというものだね」
「……ぶっちゃけ、半分イジメみてーな稽古だったんだけどな」
「いや、例え虐めに近いものだったとしても、こうして成果は出ている。師が良き弟子を持ち、弟子が良き師に巡り合えた末の当然の結果、とでも言えばいいのかな」
「オメー、随分と小難しい言葉で話すようになったじゃねえか」
「いやあ、つい定例集会のクセでね、あはは」
ディアベルとそんな会話をしながらも、俺はひたすら回避に徹するケイタの姿を見続ける。防戦一方のはずなのに、その表情には焦りの欠片もない。流石に毎日毎日俺とかリーナにボコされてきた分、度胸はついてるみてえだ。
ケイタの強みは二つ、器用さと高い学習能力だ。
攻撃にはパワーもスピードもないが、その一挙一動がとにかく巧い。視線をわざと一瞬外してみたり、足捌きの速度を変えて敵のペースを崩したり、紺の振りを乱してみたりと、一つの攻防にその都度最適な技巧を仕込む。自身が筋力にも敏捷にも依らないバランスビルドであることと棍の多様性を活かした、よく言えば変幻自在、悪く言えば小手先の器用貧乏なスタイルが特徴的だ。
また、何百何千とブチ込まれるリーナの攻撃に対処すべく磨かれた、相手の動きを読み切る力がある。振り注ぐ無数の攻撃のパターンを把握し、自分の力量と照らし合わせ、どうすれば勝利
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